米国の下院議員らは1月31日、ウイグル人などへの人権弾圧を理由に中国の最恵国待遇を取り消す法案を提出した。先月には上院でも同様の法案が発表されたばかり。
法案は、中国問題に関する米国連邦議会・行政府委員会(CECC)の議長を務めるクリス・スミス議員とトム・ティファニー議員が提出した。中国からの輸入関税などに関する優遇措置を認めた「恒久的正常貿易関係(PNTR)」の地位を取り消し、中国共産党の非人道的な犯罪行為に対抗する。そのほか、中国の人権状況を毎年精査するよう大統領に義務付ける。
スミス氏は声明で「1994年にクリントン大統領が貿易と人権との関係を切り離してから中国共産党の重大な人権侵害は見過ごされてきた」と指摘した。また、最恵国待遇を与えたことで「中国共産党は経済大国に成長し、米国の雇用と知的財産を奪っている」と非難した。
ティファニー氏も大量虐殺と奴隷労働を米国の貿易の一部して「見過ごしてはならない」と強調。「中国に対する最恵国待遇について毎年議会で審査すべきだ」と訴えた。
2000年、当時のクリントン大統領は中国に永続的な最恵国待遇を与える法案を承認し、中国の世界貿易機関(WTO)への加盟を推進した。これにより関税の引き下げなど貿易上の利点を持つ中国製品が米国市場に大量に流入。結果、多くの製造業が失われ、米国の対中貿易赤字も膨らんでいる。
ケビン・マッカーシー下院議長によりCECCの議長に指名されたスミス氏は、「貿易地位に人権状況を反映させ、米国の対中政策のあらゆる面で人権を最前線に置くこと」が、今議会における中国委員会の最優先事項の1つだとしている。
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