米国のチップ・ロイ下院議員を中心とする共和党の議員団は、製造業を米国に戻し、中国からの経済的自立を回復させることを目的とした法案を提出する意向だと述べた。エポックタイムズの取材で明らかにした。
米中間の政治的緊張が高まるなかでも、両国の経済的な相互依存は深く、去年の貿易額は4年ぶりに過去最高を更新した。米商務省が7日に発表した貿易統計によると、輸出入の合計額は6905億ドルで、最も多かった2018年を上回った。
その一方で、米国は中国の不公正な貿易慣行への対処にも追われている。米議会の超党派諮問機関「米中経済安全保障調査委員会(USCC)」は昨年、中国の不公正な貿易慣行が通商政策に関する1999年の米中合意を順守しているか調査するよう勧告した。
ロイ氏が提案する「ビート・チャイナ法案(BEAT CHINA Act)」はこうした米国の対中依存の脱却を促す。海外から米国に移転する製造業者に税制上の優遇措置を与えるほか、購入した非住宅用不動産を減価償却の対象にするといった内容が盛り込まれるという。
「中国共産党は、米国の国家安全保障に対する唯一最大の脅威だ」。ロイ氏は法案の発表に先立ち、エポックタイムズにこう語った。「米国が中国やその他の国に依存する限り、経済繁栄や政治的自由、国家安全保障などすべての面で重大なリスクにさらされることになる」
2020年、新型コロナ感染症拡大による世界的なサプライチェーンの混乱は、製造業の中国依存の高さを浮き彫りにした。医療用品生産における中国の優位性により、米国をはじめ世界各地で一部の医薬品が供給不足となり、多くの専門家が「国家安全保障上のリスク」と危機感を示した。また、後に取り入れられた厳しい行動制限を伴う中国の「ゼロコロナ」政策の影響を受け、中国に工場を置くマイクロソフトやアップルは生産能力の大幅な低下を招いた。
「今こそ最大の敵対的国家への経済的依存をやめ、自立した米国経済を取り戻す時だ」とロイ氏は言う。
バイデン政権もトランプ前大統領同様、国内製造業の強化・支援に乗り出している。昨年8月に成立したCHIPS法は、中国との技術競争に備え、総額2800億ドルを国立標準技術研究所(NIST)といった連邦政府機関の研究開発プログラムに充てる。
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