中国共産党の脅威に焦点を当てた下院特別委員会は28日、結成から初となる公聴会を開いた。委員長を務めるマイク・ギャラガー議員は「米中の戦略的対立が21世紀の行方を左右する」と述べた。
委員会は同日、視聴率の最も高い夜7時のプライムタイムにテレビ中継された。冒頭の映像では、中国共産党の政権奪取から今日まで同党が中国国内にもたらした悲劇を伝えた。毛沢東の失策による数千万人の飢餓、階級闘争による粛清、公開処刑、生き埋め、人食いの発生。さらには天安門事件による学生ら数千人の犠牲、少数民族の弾圧、香港自治権50年の約束の反故、ゼロコロナ封鎖に反対した市民の拘束などを並べた。
委員会メンバーは中国の脅威がいかに差し迫るものであるか、中国との「選択的な切り離し(Selectively Decouple)」をすべき理由を米国民に説明し、納得を得られるよう取り組むとした。
あらゆる課題で異なる意見をもつ共和民主両党だが、中国共産党に対する強硬姿勢は一致している。
同委員会のラジャ・クリシュナムルティ議員は両党の団結が不可欠だと強調した。「私たちが分裂して互いに偏見を持つことを、中国共産党が望んでいることを分かっていなければならない」と述べた。
公聴会では、トランプ政権時代に国家安全保障政策を担ったポッティンジャー元大統領副補佐官とマクマスター元国家安全保障顧問の2人のほか、在米民主活動家の童屹氏と米国製造業連盟のスコット・ポール会長のあわせて4人が出席した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル中国特派員や海兵隊員も経験したポッティンジャー氏は、「中国共産党の指導層は正体を隠す名人」と指摘。世界が長年、この虚像に騙されていたと述べた。
これを「現代史における最大のまやかしの一つ」と例え、プロパガンダは党の利益を誘導し、建設的で協力的な姿勢、責任感や正常さを装うことを成功させていると説いた。しかし、今や世界はそのような行為に騙されることはなく、中国共産党政権のこれまでの行動からその本性は理解できるとした。
ポッティンジャー氏は、対中投資が中国共産党の人権侵害にも加担することなると警告を発した。「数千億ドルもの資金が大量虐殺などグロテスクな人権侵害に関与している。多くの米国人はこのことを知らない。もし自分のお金がどこへいくのか知っているならば、こう言うのではないか。(中国投資なんか)やってられない!と」
米国の退役陸軍大将であるマクマスター氏は過去の失敗を繰り返すべきではないと強調した。「米国のリーダーは希望的観測を変えられず、中国共産党の言い分を妄信してきた」「米国と他の自由主義の国々は、資本と技術を戦略的競争相手に譲り渡すことで、競争相手の優位性の高まりを過小評価してきた」
中国で1993年に拘束され、その後米国に亡命した民主活動家の童屹氏は、中国共産党が最も恐れているのは中国国民と真実だと指摘した。「中国人が自由にインターネットを閲覧でき、情報の自由な流れを掴めば真実を知るだろう。真実それ自体が強力で、党が何十年にもわたって築いてきた嘘は崩れる可能性がある」
ポッティンジャー氏は、中国国内の人々が検閲体制を回避できるよう米政府とテック企業が協力して支援するべきだと提案した。「強力なファイアウォールに穴を開けることができるだろう」と語った。
24人の委員会メンバーを交えた公聴会は中国資本の農地買収、中国軍の拡張や開発、新型コロナウイルス起源にいたるまで幅広い課題について議論した。
米国と中国共産党の戦略競争に関する下院特別委員会は共和党議員13人、民主党議員11名で構成されている。 委員会に法案提出の権限はないが、中国関連法案に関する各委員会の作業を調整し、政策立案者に助言し、公聴会を開催することで対中政策を支援することが期待されている。
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