ワクチンをめぐって mRNAの品質問題についての考察

ワクチン関連傷害は、切断型mRNAと関係している可能性がある

2023/03/16 更新: 2023/03/15

欧州医薬品庁(EMA)は、ファイザー社の新型コロナワクチンサンプルから検出された「切断型(truncated)mRNA」の不純物について「重大な懸念」を表明した。この分子によって特定のタンパク質コード配列が変化すると、予期せぬタンパク質が産生され、ヒトの細胞に影響を与える可能性があるため、これは深刻な問題だ。

2回にわたる連載記事の前編では、ファイザー製ワクチンにmRNAの断片や切断型mRNAが含まれているという事実について総括し、命に関わる重大問題であることを明らかにした。また、ファイザー社が偽造したmRNAの分析報告書を複数の保健当局に提出していたことも明らかにした。

後編となる今回は、ファイザー製ワクチンの切断型mRNAがもたらしうるワクチン関連傷害について説明し、保健当局が何の行動も起こさない根本的な原因について明らかにする。

概要

  • ファイザー製mRNAワクチンに含まれる切断型mRNA関連の品質問題が、深刻な健康被害を引き起こす可能性がある。
  • 切断型mRNAは、新型コロナmRNAワクチンにおける深刻な品質問題である。
  • ワクチンのバッチごとの品質のばらつきが、接種者が経験する有害事象の差異に寄与している。
  • これらのワクチン問題の根本的な原因は、倫理の欠如にある。

2021年3月以前、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)は、ファイザー社に対し、切断型mRNAがもたらす潜在的な弊害に対処するよう要求した。しかし、同社から提出されたのは、改ざんされたウェスタンブロット画像だった。前回の記事で詳述した通りだ。

ファイザー社が真実を示さなかったにも関わらず、EMAは報告書の中で「これらの問題は解決されたと考えられる」と述べている。いったい誰がそう考えたというのだろうか。

ファイザー製ワクチン、切断型mRNAに終止コドンが欠落

mRNAの全長構造は5つの部分から構成されている。

  • 5′ キャップ:スパイクタンパク質への翻訳開始に関与
  • 5′ 非翻訳領域:タンパク質配列に翻訳されない領域
  • コーディング領域:タンパク質配列に翻訳される領域
  • 3′ 非翻訳領域:タンパク質配列に翻訳されない領域
  • ポリA鎖:mRNAの安定性を向上させる役割を持つ

3′ 非翻訳領域の先頭には終止コドンがある。mRNAの翻訳領域であるオープンリーディングフレームは、開始コドンで始まり、この終止コドンで終わる。

ファイザー製ワクチンのmRNAの全長は4,284塩基にもなる。ポリA鎖は塩基4,175-4,284からなり、3′ 非翻訳領域は塩基3,880-4,174からなるため、終止コドンの位置は塩基3,877-3,879だ。EMAの報告によれば、ほとんどの切断型mRNAは3,500塩基より短いので、この不純mRNAはほとんどが終止コドンを含んでいない。

切断型mRNAにはポリA鎖がなく不安定であるため、すぐに分解されるはずだと異議を唱える人もいるかもしれない。ファイザー社は、切断されたタンパク質が生成されていないことを証明する資料を提出している。

ただ、それは試験管内の細胞系統に添加される一定量のmRNAについては当てはまるかもしれないが、ヒトに置き換えても同じ結果になるとは限らない。切断型mRNAが、うまく設計された脂質ナノ粒子に埋め込まれて人体に注入されれば、事態は複雑になる。

1. 心臓発作や脳卒中を誘発する、異常な繊維状の血栓

切断型mRNAに終止コドンがないということは、理論的には、翻訳プロセスが細胞内の別のmRNAに引き継がれて延々と続くことになる。同じスパイクタンパク質のmRNAに引き継がれれば、引き伸ばされたスパイク様のタンパク質が繰り返し形成される。異なるmRNAに引き継がれた場合は、未知のタンパク質が形成される。

2021年半ばには、世界中のエンバーマーが、それまで報告されたことのない白や茶色の奇妙な繊維状の血栓を、遺体から採取するようになった。

それらは数十センチにもなるひも状の血栓で、ゴム状で頑丈なものが多い。柔らかく、丸く、平べったくて、塊状で、赤黒い色をしているのが特徴で、通常の血栓とは全く異なっている。

以前、このような奇妙な血栓の生成メカニズムを理解するための研究証拠をまとめたが、何が血栓をここまで異常なほど引き伸ばすのかを完全に理解するには、まだ何かが欠けている。

もし、翻訳を止めるシグナルがない場合に、スパイクタンパク質に起因するひも状の構造物が成長して長くなっているとしたらどうだろう。エンバーマーらが剖検時に異常に長い繊維状の血栓を発見している理由が説明できるかもしれない。

スパイクタンパク質は7つのアミロイド形成性配列を持っており、アミロイド様物質を形成しうる。この仕組みは、縦方向のねじれと交差結合を伴うより緊密なひも状の結合構造を形成しやすく、それが繊維状の構造物となる。例えるなら、これは麻縄作りに近い。細くて短かい麻の繊維を巻いていけば、耐久性のある長くて頑丈なロープになる。

切断型mRNAから終止コドンが欠落しているため、最初の時点で(麻縄で言えば繊維の時点で)、通常のスパイクタンパク質の構造物よりも長さがある可能性がある。それが、ねじれや交差結合を繰り返した末に、あの奇妙な長い繊維状の血栓を形成していたとしても不思議ではない。

SARS-CoV-2スパイクタンパク質が持つ、アミロイド様物質を形成する3種のペプチドと、そのアミノ酸配列 (EPOCH Health)

もちろん、スパイクタンパク質に関連した奇妙な血栓の形成を説明できる他の状況もある。しかし、今のところ、スパイクタンパク質への翻訳を停止する仕組みを持たない切断型mRNAが、血栓形成の要因となっている可能性が高い。

他にも、スパイクタンパク質は、内皮破壊内皮細胞の炎症命に関わる血栓性合併症、複数の受容体(ACE2、TMPRSS2フィブロネクチン受容体)を介した血小板の過剰活性化好中球細胞外トラップ(NETs)からの線維網、さらにアンジオテンシンIIレベルの増加Toll様受容体4の活性化凝固因子(FXa)産生の増加などを誘導することにより、凝固カスケードを引き起こす可能性がある。

2. 神経変性疾患

健康な細胞中では、切断型mRNAや欠陥のあるタンパク質は、人体に備わる品質管理機構によって認識され、除去される。

しかし、タンパク質の種類や品質管理機構の性能によっては、このような異常なタンパク質は体内の品質管理機構から逃れ、折り畳まれて不溶性の凝集体を形成し、健康な細胞の機能を損ないかねない。そうなれば、アルツハイマーやパーキンソン病といった多くの病気につながる可能性がある。

さらに、ワクチンによるブレインフォグも、これらの切断型mRNA由来のタンパク質と、少なくとも部分的には関係している可能性がある。

3. 癌

こうしたmRNAの品質問題は、2022年にスウェーデンのルンド大学で実施された研究で示された観察結果に、理解の手がかりを提供しうる。研究では、ファイザー製mRNAワクチンがヒト肝細胞に入り、ヒト遺伝子に影響を与えてから 6時間後に「逆転写」する可能性があることが示された。

mRNAワクチンがヒトのDNAを変化させる可能性がある。(MDPI)

現在、ほとんどの癌は、遺伝子の変異や損傷によって引き起こされると考えられている。

以上のことを踏まえると、米病理学者ライアン・コール博士が指摘した、「新型コロナワクチン接種後、特定の癌症例が異常かつ憂慮すべきほど増加している」という観察結果にも説明がつく。

また、コール博士は最近、多発性骨髄腫患者の生検結果を紹介し、ほとんどのB細胞がスパイクタンパク質を持っていることを示している。機能が未知である切断型mRNAは、ヒトゲノムに挿入され、私たちの遺伝子を変えているのかもしれない。

4. 自己免疫疾患

翻訳を停止するシグナルがないので、理論的には、細胞内の別のmRNAに引き継がれて、スパイクタンパク質が生成され続ける。自己タンパク質のmRNAが引き継ぐと、自己タンパク質の領域が重なった混合型のスパイクタンパク質を形成することになる。

この「スパイク様の」タンパク質に対する抗体が免疫系で作られることで、自己免疫の高まりが見込まれる。

ファイザー製新型コロナmRNAワクチンの有害事象報告の公開に伴い、自己免疫疾患の有害事象報告を多く見かけるようになった。自己免疫性肝疾患のほか、自己免疫性心筋炎、腎炎、神経系障害などが見られる。以下の通りだ。

ドイツでの症例:男性(52)がファイザー製ワクチンを2回接種後、急性肝炎を2回発症。

米国での症例:健康な女性(35)が産後3ヶ月目にファイザー製ワクチンの初回接種を受け、約7日後に自己免疫性肝炎を発症。自己免疫性肝炎の特徴を持つワクチン関連薬剤誘発性肝障害と診断された。

イタリアでの症例:女性(43)がファイザー製ワクチン接種15日後に急性胆汁性肝炎を発症。ワクチンによる免疫介在性肝障害と診断された。

スペインでの症例:女性(41)がモデルナ製ワクチン接種後に急性肝炎を発症。重度の胆汁うっ滞を伴うワクチン誘発性自己免疫性肝障害と診断された。

切断型mRNAはmRNAワクチンの重大な品質問題

ファイザー製mRNAワクチンの異なるバッチ間で発見された短いRNAに見られる特徴から、製造・出荷プロセスで実質的な劣化が起こったことが証明されたが、それが判明したのはワクチンの緊急承認後だった。

他のmRNAと同様、ファイザー製ワクチンのmRNAは壊れやすく、特に水に弱い。改良によって安定性が増したとはいえ、mRNAが予期せぬ長さの断片に分裂していることは、切断型mRNAに観察される品質問題を物語っている。

医薬品開発プロセスにおいては、人による承認を規制機関が正当化するために、厳格なガイドラインに従うことが要求される。この規則はICHガイドラインと呼ばれている。ICHは医薬品規制調和国際会議のことだ。

ICHは一式のガイドラインを発行しており、主な3つの主要カテゴリー (品質安全性有効性)は、新薬の承認と安全性のモニタリングに使用される。また、「学際的なガイドライン」と呼ばれる第4のカテゴリーもある。

良質な医薬品の最大の特徴は、量、純度、安定性、物理的・化学的パラメーターが安定していて、異なるバッチやロット間で一貫性が保たれていることである。

現在のワクチン業界の品質管理システムは十分な設備が整っており、充填・仕上げ工程の前に不具合を発見することができる。しかし、それ以降の工程での不具合は見逃される可能性がある

新型コロナのmRNAワクチンを製造する際、世界の規制機関が定めた規則がワクチン製造会社のファイザー・ビオンテック社に要求された。そのひとつが、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の全長を細胞で安定的に産生できることを証明することだった。

しかし、これらの要件は、専門的かつ事実に基づいた方法で取り組まれてはいない。

接種者が経験する有害事象のばらつき

不純なmRNA成分の定量化や定性化が困難なため、切断型mRNAを含むワクチンは、異なるバッチやロットによってばらつきが大きい。

当連載記事の前編でも紹介した、元製薬業界幹部のサーシャ・ラティポワ氏が、この動画の4:01から新型コロナワクチン接種に関する分析結果を紹介している。彼女は「ほとんど副作用が報告されていないロットもあれば、何千もの重篤な有害事象、何百もの死亡例があるロットもある」と説明した。

また、講演の中で彼女は、過去のインフルエンザワクチンに関する調査について説明している。米国の予防接種安全性モニタリングシステム(VAERS)のデータから、複数のメーカー間や多くのロット間で一貫性のある予防接種が30年以上にわたり行われていることが分かったという。

このラティポワ氏の講演は、医師、科学者、弁護士からなる非営利団体「ラカルプローペット(Lakaruppropet)」が、2023年1月21-22日にスウェーデンのストックホルムで開催した「パンデミック戦略会議」でのものだ。

彼女は、製薬業界における適正製造基準(GMP)の重要性について説明している。これは、製品が1回目の投与から後続の投与まで一貫性を保っていなければならないことを意味する。

ファイザー製mRNAワクチンのばらつきが大きいという問題は、製造工程における欠陥を示している。

同社が2020年に米食品医薬品局(FDA)に提出した報告書によると、RNAの完全性は62~86%の範囲にあった。

ファイザー製mRNAの完全性データは高い変動性を示した (FDA)

ファイザー製mRNAワクチンについて、欧州医薬品庁(EMA)は評価を修正し、RNAの完全性は純度約50%まで下げられた

ワクチン問題の根本的な原因

ファイザー製ワクチンの品質問題に対して、世界の保健機関が厳しい規制措置をとらないのは不思議だ。

これは現代版の「裸の王様」だと言える。ファイザーという「王様」は、新型コロナワクチンに係る規制当局の要求に対し、改ざんされたウェスタンブロット画像を提出し、それを公表までしている

EMAやFDAなどの世界の保健当局は「宮廷の廷臣」だ。彼らは、切断型mRNAと発現したタンパク質に関する十分な実験データがないことを十分に認識していた。ファイザー社の回答が決定的な結論をもたらすものでないことも十分に認識していた。それにもかかわらず、彼らは同社のワクチンを承認した。

私たちは、路上でこれらの出し物を見せられ言葉を失った市井の人々だ。

今、私たちは壊滅的に倫理が欠如した時代を生きている。ひとたび人々が道徳規範を放棄してしまえば、社会全体が腐敗してしまう。

利益や権力といった幻想から目を覚まさなければならない。

人々が真実を語り広め、真実と誠実さを重んじた伝統に立ち返り、他者に対して害ではなく善をなすことができるよう望んでいる。そうすることによってのみ、私たちの生存は維持され、明るい未来を期待することができる。

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本記事は情報提供を目的としたものであり、個別の医療上のアドバイスに代わるものではありません。個人の医療上のアドバイス、診断、治療については、信頼できる専門家にご相談ください。

エポックタイムズのシニアメディカルコラムニスト。中国の北京大学で感染症を専攻し、医学博士と感染症学の博士号を取得。2010年から2017年まで、スイスの製薬大手ノバルティスファーマで上級医科学専門家および医薬品安全性監視のトップを務めた。その間4度の企業賞を受賞している。ウイルス学、免疫学、腫瘍学、神経学、眼科学での前臨床研究の経験を持ち、感染症や内科での臨床経験を持つ。