マルクス、毛沢東、鄧小平も消える…習近平以外のイデオロギー、政府規則から削除

2023/04/24 更新: 2023/04/24

中国では今般、政府規則が改定された。これによって国務院(内閣に相当)は、主要な決定をすべて共産党指導部に説明し、チェックを受けることとなった。

任期制限が撤廃され、3期目に突入した習近平主席は広範な制度改革を実行している。この規則改定もその一環であり、行政権を大臣や行政官にではなく、共産党のワーキンググループに集中させるものだ。

そして3月18日付で公式サイトに掲載された「国務院の作業手順」からは、マルクス主義やレーニン主義、毛沢東の思想、鄧小平の思想、江沢民元国家主席と胡錦濤元国家主席のイデオロギーへの言及がすべて削除された。

次期首相の李強氏が率いる国務院幹部は習近平氏の政治思想にのみ言及、その規則書は64条から43条に再編集された。

習近平氏を中核とする共産党中央委員会の指導に従うという命令に変化は見られない。しかし国務院幹部は今後、重大な決定や事案、重要な状況については、中央委員会に適宜報告することが求められる。

なお、これまでの「法に基づく行政、事実から真実を求める、民主主義、開放性、実用主義、誠実」等についての言及がなくなり、国務院については、違法または不適切な行政行為を是正し、官僚機構を指導、監督するという記述もなくなった。

毛、江、胡

豪州を拠点とする時事コメンテーターの張光中氏は「これまで国務院が持っていた権限の多くが中央委員会に移管された。このことは改定後の規則書にも反映されている」と述べている。

同氏はラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、「今回の規則改正では習近平への忠誠の重要性が強調された。(党指導部が)国務院から支配権を取り戻すため、毛、江、胡の影響力を弱めようとするものだ」と語った。

「改定により、国務院が持っていた政策発布の自由は制限され、(党指導部による)中央集権が継続される」と同氏。「習近平が国務院の機能に指導的な役割を果たしている」という。

習近平の前任者たちの時代では、国務院は首相の管轄とされ、国の日常的な運営と経済政策の策定を任されていた。

3月下旬、党中央規律検査委員会が運営するワーキンググループの下で、中央委員会は、党員9600万人が最高指導者の習近平に忠実かどうかを検査し、対立派閥によって権力の座に就いた「黒い羊」や「二枚舌」の幹部を排除しようと全国規模の懲罰キャンペーンを開始した。

党の看板は1つだけ

政治評論家の黄常根氏は、「この規則書には、マルクス・レーニン主義や毛沢東、鄧小平、江沢民の政治的イデオロギーへの言及がなくなった。これは今後、国務院で独自の意思決定を行う余地がほとんどないことを強く示唆する」と述べた。

同氏は「これまで国務院には、(党指導部と)交渉する余地があったが、今やすべてがなくなった」と述べ、「遅かれ早かれ、党綱領からもそれらがなくなるだろう」と予測。「党が従うべき看板はひとつだけで、他には存在しない。党中央の上級指導者集団というかつての概念もなくなった」

昨年10月の第20回党大会で承認された党綱領では、習近平の思想を「中国文化の神髄、時代の精神」と表現し、9000万人の党員に対して、習近平のイデオロギーを支持し、「核心的」指導者としての地位を「守る」ことを要求している。

元共産党学校教授の蔡霞氏は、「この改正により事実上、党が習氏の個人的な「集団」となり、党員には彼の地位を守る義務が課せられた」と述べた。

大紀元日本 STAFF
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