フランスの人権団体は17日、ウイグル人の強制労働から利益を得ているとして、ユニクロやザラなどの大手アパレルブランドを展開する現地企業に対する訴訟を提起したと発表した。綿製品の生産過程に強制労働の疑いがあるとしたが、企業側は否定している。
原告は人権団体のシェルパやエシクス・オン・レーベルズ、欧州ウイグル協会など。ファストリ子会社のユニクロフランス、ザラなどのブランドを所有するスペインのインディテックス、仏ファッショングループSMCP、米国の靴製造メーカースキャッチャーズなどに対し、ウイグル人が強制労働させられている工場の商品を販売したとして、人道に対する罪や奴隷の強制、ジェノサイド、人身売買などに関与した疑いがあるとした。
仏AFP通信によると、インディテックスは告発の根拠はないと主張。「我が社は製品の出所を確認する厳格なトレーサビリティ管理を行い、強制労働に対してはゼロ・トレランス(絶対容認しない)ポリシーを持っている」と訴えを否定した。
ファーストリテイリング側は、裁判に関する公式通知を受けていないとしたうえで、「もし通知があった場合、我々の供給チェーンに強制労働が存在しないことを再確認するため調査に全面的に協力するだろう」との立場を示している。
国連人権高等弁務官事務所は昨年9月の報告で、新疆ウイグル自治区では強制労働を含む数多くの人権侵害が行われていると非難し、ただちに解放するよう求めた。
人権への意識が高まるなか、企業には人権デューデリジェンスへの取り組みが求められている。日本政府は企業における人権尊重の取り組みを後押しするため、昨年9月にガイドラインを策定した。
中国の人権弾圧の実態が暴かれるにつれ、サプライチェーンにおける人権侵害の有無を確認し、強制労働や児童労働を防止することが急務となっている。
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