米下院で中国問題を扱う特別委員会は5月31日、米アルフレッド大学が国防総省から極超音速兵器研究の助成金を受けながら中国の大学と密接な関係を保ち続けているとして、オースティン国防長官らに書簡を送り追加情報の開示を求めた。
エポックタイムズが入手した書簡のコピーによれば、アルフレッド大学は中国共産党のために防衛研究を行う中国の大学との継続的な研究提携のほか、ニューヨークのキャンパスに孔子学院を設置し続けることなどが記されている。
中国特別委のマイク・ギャラガー委員長はエポックタイムズの取材に応じた。孔子学院は中国共産党による「ソフトパワー(文化の浸透)」のみならず、将来の紛争で米国人に使用する「ハードパワー(武器)」の製造に協力しかねないと懸念を示した。
書簡はオースティン国防長官のほか、アルフレッド大学のマーク・ズーパン学長にも送られた。中国特別委が懸念している研究の安全性のほか、大学が孔子学院を併設しながら国防総省の補助金を受け続けるには、今後特別な許可を得ることが法的に義務付けられていることについて回答を求めた。
ズーパン氏宛の書簡では「あなたは極超音速兵器の高度な研究に資金を提供し、同様の研究を行う中国の大学と提携している」と指摘。「追加情報と、米軍研究を保護するためのアルフレッド大学のコミットメントを求める」と記された。
「中国の軍産複合体を支援する」
アルフレッド大学は現在、中国共産党のために「防衛研究に積極的に取り組む」武漢の中国地質大学と提携しているにもかかわらず、極超音速兵器の研究に国防総省から1350万ドルの助成金を受け取っている。
この研究は、現在アルフレッド大学で行われている国防総省の資金提供による研究と密接に関連する先端材料科学であり、米国から中国に研究成果を移転する可能性があると指摘した。
アルフレッド大学が国防総省の助成金を受け続けながら、学内に孔子学院を置く合法性にも疑問符をつけた。
孔子学院は中国語や文化を促進する学習機関として設立されたが、近年は言論検閲や共産主義思想の推進など中国共産党の国際的な影響力拡大を手伝うスパイ組織として警戒されている。
書簡は、国防法第1062条により2023年10月1日以降、国防総省が「孔子学院を有する高等教育機関」に資金提供することを禁止しているが、アルフレッド大学は「兵器に使用されるセラミック材料の性能を向上させる」ために、2027年まで助成金を受け取る契約を結んでいると指摘した。
また、孔子学院協定で米国の大学と提携した中国の大学の中には、中国の軍産複合体の支援に関与しているケースもあると付け加えた。
軍事技術の盗用問題は、米中間の緊張を高めている。中国共産党は、米国に学生や科学者を送り込み、技術や研究を盗むという組織的なキャンペーンを展開している。孔子学院や中国の海外高度人材招へいプログラム「千人計画」も中心的な役割を担っている。
昨年には、米国のトップ原子力研究所から150人以上の科学者が中国政権に雇われて研究開発を行っていたことが明らかになった。そのうちの8割近くが中国共産党の外国人人材採用プログラムに参加していた。これらの研究者は中国共産党のジェットエンジン、弾頭、無人車両、ステルス潜水艦、極超音速計画の開発に貢献している。
特別委員会の書簡は国防総省とアルフレッド大学間のすべての通信や、孔子学校への資金提供を禁止する規則の免除を申請した全ての大学リストのコピーを提供するようオースティン氏に求めている。
「国防総省とアルフレッド大学は、米国の研究の安全が損なわれないように、また米国の税金が中国共産党の軍事的進歩のために使われないようにどういった措置を講じているのか説明すべきだ」とギャラガー氏は述べた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。