コンゴのコバルト採掘で中国による児童労働 米、輸入禁止法案を発表

2023/07/05 更新: 2023/07/05

電気自動車(EV)向けに需要が増加するコバルトレアメタル。しかし、中国共産党による人身売買労働者や児童労働者によって、コンゴで掘られた鉱物が使われていると問題視されている。米共和党のクリス・スミス下院議員は6月30日、こうした条件のもと採掘されたコバルトなどを含む製品の輸入を禁止する法案を発表した。

法案は児童労働や強制労働によりコンゴで採掘されたコバルト、リチウム、レアアースなどの鉱物を含むすべての製品の輸入を禁止するほか、児童労働を助長する者へのビザ発給停止の制裁を科すよう大統領に求める。

そのほか、コンゴにおける重大な人権侵害を防止するため、米国とコンゴの双方が加盟する二国間の外交ルートや多国籍機関を活用することなどが盛り込まれた。

スミス氏は声明で「中国共産党は人身売買された労働者や児童を利用して、コンゴの莫大なコバルト資源を搾取し、自国の経済とグローバル・アジェンダを推進している」と指摘。法案は「グローバル・サプライチェーンにおける中国の戦略的な鉱物資源支配にも対抗する」と強調した。

2022年10月12日、コンゴのシャバラ鉱山で働く労働者 (Photo by Junior KANNAH / AFP) (Photo by JUNIOR KANNAH/AFP via Getty Images)

米政府が発表した報告書によれば、コバルトの世界生産量の約7割を占めるコンゴでは、約4万人の児童が保護具などを着けず劣悪な環境で採掘に従事させられており、中には6歳児も含まれる。

また、コンゴにある19か所のコバルト生産鉱山のうち、15か所は中国企業が所有または資金提供しており、中国によるサプライチェーン支配が問題視されてきた。「米国は残忍な中国独裁政権への依存を減らす必要がある」とスミス氏は言う。

重要鉱物をめぐってはG7広島サミットでも取り上げられた。中国による「経済的威圧」に対抗するため、G7が連携して重要鉱物の「サプライチェーンを強化する」と共同声明を発表した。

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