外国のアナリストは、習近平氏が新しいロケット軍司令官と政治委員を任命したことは、この重要な軍に対する 「粛清」 を意味すると考えている。ロケット軍は陸上核弾道ミサイルと通常弾道ミサイルを担当する部隊である。
中国共産党国営テレビ局(CCTV)は、中国共産党中央軍事委員会が将官の昇進式を行い、習近平氏が指揮官証を授与し、昇進した将官に祝賀の意を表したと報じた。 報道によると、ロケット軍司令官の王厚斌氏とロケット軍政治委員の徐西盛氏が大将に昇進した。
ニューヨークのシンクタンク「アジア協会政策研究所」のライル・モリス(Lyle Morris)研究員はツイッターで、王厚斌と徐西盛の両氏の昇進について、中国共産党がロケット軍内の指導部の大幅な入れ替えを公式に認証したのは初めてだと分析した。
更に、李玉超 (イ・オク) 元司令官と徐忠波 (ソ・チュンボ) 政務委員の辞任も認証され、 「ほぼ間違いなく不正捜査を受けている」 という。
モリス氏は、習近平氏は今までにない方法で軍隊のコントロールを強化したが、今回で軍隊の整理を終えたわけではないと述べた。
中共が軍の腐敗防止問題を取り上げるのは、習近平氏が依然として 「軍から絶対的な忠誠を得られていない」 と懸念していることを示唆しているという。
モリス氏は以下のように語っている。
「今回の最新クリーニングにはいくつかの重要な意味がある。
1)李玉超は習近平氏が最も信頼していた中国核計画を監督する将軍の一人だった
2)中国は数十年で最も深刻な核戦略変革に直面している。
3) そのため、ロケット軍は政府の大量支出の受け入れ側であり、腐敗の機会も伴っている。
大量の資金が軍事計画に投入されると同時に、腐敗が生じる時期でもある」
彼は中国の空母計画を担当する中国船舶重工グループ会社の前会長胡問鳴に言及し、李玉超の境遇は胡と似ていると考えている。胡は2021年1月に収賄と職権乱用の罪に問われた。
「李玉超の失脚と秦剛の落命は、習近平氏が相当の期間に直面した最大の指導的課題の1つである」 とモリス氏は述べた。
「ドイチェ・ベレ(Deutsche Welle)」は中国共産党中央紀律委員会(中紀委)のデータを引用して、昨年10月の第20回中国共産党大会以降、39人以上の高級軍事・政治幹部が逮捕されたと報じた。
アナリスト:習近平氏はロケット軍への政治信頼度が低い
アジア協会政策研究所中国研究センターの研究員ニール・トーマス(Neil Thomas)氏は、新しく昇進したロケット軍司令員・王厚斌氏は海軍出身で、新政治委員・徐西盛氏は空軍出身だとツイッターにつぶやいた。
「これは習氏がロケット軍を粛清したことをほぼ実証している」 とし、 「習近平氏が部外者2人を任命したのは異例のことで、 (習近平氏がロケット軍に対して) 政治信頼が低いことを示し、核兵器/ICBM計画に (驚くべき) 腐敗の規模があることを示唆している」 と記した。
「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は28日、関係者の報道を引用し、中共ロケット軍司令員の李玉超、副司令員の劉光斌、そして前ロケット軍副司令員で現職の中共中央軍事委員会・連合参謀部副参謀長の張振中が汚職の疑いで3月に連行されたと報じた。
ニール氏は、調査は魏鳳和・中共防長が中央軍事委員会を退役した後に開始されたが、ロケット軍の呉国華・前副司令官の死に関連していると述べた。呉国華中将は7月初めに自宅で自殺し、当局は約1か月間、死を隠していた。彼は腐敗捜査のため自殺したと広く伝えられている。
ニール氏はとにかく、「これらすべての理由から、中国の核兵器とミサイル計画の本当の状況に対する疑問が引き起こされた」 と述べた。
政治ニュースサイト「ポリティコ(Politico)」のヨーロッパ關係の記者であるスチュアート・ラウ(Stuart Lau)氏は、現在、中共ロケット軍最高司令官の地位を 「部外者」 の手に渡すと同時に、習近平氏は政治委員会を更迭したと主張している。
「これは非常に異常な動きだ」 とし、 「これは習近平氏の最近のもう1つ重大な人事であり、これまでお気に入りだった外交官の秦氏が就任してわずか7か月、謎の欠席で1か月後に外交部長を解任された」と述べた。
王厚斌氏はもともと海軍副司令員、南海艦隊参謀長だった。徐西盛氏は2020年にロケット軍に入り、今は醜聞に包まれた軍事部門の政治の中心人物だ。
「フィナンシャル・タイムズ」によると、ロケット軍に対する粛清は過去10年間で中共軍上層部に対する最大規模の粛清である。これは2014年、中央軍事委員会副主席・徐才厚と郭伯雄が相次いで汚職で告発されて以来、十年間で最大規模の中共軍指導者の異常変動だ。
徐才厚と郭伯雄に対する粛清行動では、党と習近平氏が武装部隊への絶対的支配を重ねて表明した。
中国共産党による軍の支配権をめぐる争いは、党内上層部の残酷な派閥争いを伴うことが多いと見られている。
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