ドイツ政府はカーボンニュートラルに向けた取り組みとして、2024年から石油暖房器具などの使用を禁じる政策を決定した。いっぽう、ドイツの著名な経済学者は、それらの政策には効果がなく、かえって中国を利するだけだと批判した。
ドイツの「ifo経済研究所」元所長であるハンス・ヴェルナー・ジン氏はこのほど、ドイツ紙「BILD」への寄稿で、ドイツやEUのエネルギー政策を批判した。ガソリン車の販売禁止などの措置は「気候にとって何の意味もない」どころか、「ドイツが石油を買わなくなれば、石油の国際価格が下がり、他の国々が石油を買うようになる」と指摘した。
ジン氏は中国の石炭・石油消費量が増大していることを挙げ、ドイツの環境政策は実質的に中国に安価な石油を提供することになると強調した。
今年4月に原発を全廃し、2024年から石油暖房器具の使用を禁ずるドイツの環境政策にも苦言を呈した。ジン氏は、風力や太陽光発電は天候の影響を大きく受けるため、電力の安定供給に支障をきたす恐れがあり、不足分を外国から買う必要があると指摘。電気料金の高騰により企業が撤退し、人々の生活苦を増幅させるだろうと綴った。
ドイツ連邦統計庁は今年5月、2023年第1四半期の国内総生産(GDP)が前期比でマイナス0.3%だったと発表した。2四半期連続でのマイナス成長となり、リセッション(景気後退)入りした。
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