中国メディアは最近、中国の日本食レストランで使われている食材のほとんどが中国産だとする一連の記事を掲載した。
中国共産党(中共)が日本の原発処理水放出を利用して反日感情をあおったことが原因で、中国の水産業が深刻な影響を受けている。専門家は事態の沈静化を狙っていると分析する。
中国共産党機関誌『中国国家地理』は8月30日、中国の日本料理店では中国産の食材を使うのが「業界の常識」だと強調した。
「日本食レストランのワカメは、十中八九、中国の大連産で、ウニや貝類も中国東北で獲れたものが多い。山盛りの刺身は、浙江省舟山などの漁師が獲ったものだ。そして、うな丼のうなぎもまた福建省か広東省産である可能性が高い」と中国産をアピールした。
中国食のドキュメンタリー番組『風味人間』も29日、日本食レストランで使われている食材の多くが中国産であることから、日本食レストランをボイコットしないよう呼びかける記事を掲載した。
記事は、日本の水産物は中国ではあまり使用されていないことを強調し、中国人は「日本食レストランでいつも中国産の魚介類や、(日本以外の)他国からのコストパフォーマンスの高い魚を口にしている」と述べた。
中国当局は8月24日、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を受けて、日本産水産物の輸入を全面的に禁止したと発表した。のちに新浪新聞が行った世論調査では、54%が「日本食レストランにもう二度と行かない」と答えている。
中国の日本食レストランの数は世界一で、中国の口コミサイト「大衆点評」の6月の発表によると、中国本土には7万9千以上の店舗がある。
中国共産党は「墓穴を掘っている」
ニュージーランド在住のメディア専門家、叶知秋氏は8月31日、エポックタイムスの取材に応じ、自国の水産業への打撃を受け、中国共産党の官製メディアは火消しに回っていると分析した。
「中国共産党はプロパガンダを流布し、日本に圧力をかけ、争いをあおる政治的な目的がある。それは国内問題から国民の目を逸らすためだ」
「厳しい情報統制が敷かれる中国では、国民が真実の情報を得ることは難しい。いったん政府のプロパガンダが始まると、多くの人がそれを信じてしまい、シーフードを敬遠する状況になってしまった」
「そのため国内の水産業にも影響が及び、自ら墓穴を掘っていることに気づいたのだ」
中国共産党による日本産水産物の不買運動は、中国の漁業・養殖業に大きな影響を与えている。「すでに経済危機に直面している中国だが、これは経済状況をさらに悪化させる可能性がある。 中国共産党は火消しに追われているのだ」
苦境に喘ぐ中国の漁業、養殖業
中国共産党・農業農村部・漁業管理局によれば、2022年の中国漁業経済総生産額は3兆873億1400万元(約78兆円)だと発表した。そのうち49.5%が漁業の生産額が占める。また同年の中国の漁業人口は約1600万人に上るという。
中国税関総署が発表した貿易統計によると、中国が7月に日本から輸入した水産物の総額は前年同月比29%減の2億3451万元(約46億円)だった。
中共が日本の水産物の輸入を全面的に禁止したことで、中国の巨大な漁業・養殖業は苦境に立たされていると、前出の叶知秋氏は指摘する。
「水産業の人々の収入源がなくなれば、中共にとって社会不安要素となる。党の誤った宣伝によって、水産物の不買運動が起こり、収入がなくなった水産業の不満は政府に向けられるだろう。党は怯え、急いで事態を収拾しようとしている。しかし、これらの損失はそう簡単には取り戻せないだろう」
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