法輪功迫害 母救出のため 善の心を持つ

私の母国に自由はなかった

2024/05/26 更新: 2024/06/14

巨大な嘘に対抗する声なき人々の声を伝えたい。言論の自由を守りたい。そんな思いから、私は大紀元の記者として報道に携わっている。

私が生まれ育った中国には言論の自由がない。メディアは中国共産党の代弁者であって、日本のマスコミのような報道機関は存在しない。中国の報道機関はいつも共産党政権に同調し、言いなりになっている。1999年7月20日に共産党が法輪功に対する迫害を始めた時も、すべてのテレビ局や新聞社がいっせいに法輪功を誹謗中傷する内容を流した。私たちは声を上げたくても上げられない状況だった。

その影響で、来日1年後もその恐怖と隣り合わせで生きていた。

2001年、天安門広場で法輪功学習者を押さえつける私服警官(Falun Info)

拘留された母

今年4月11日、私の母・王乖彦(オウ・カイゲン)が中国の拘置所で勾留された。

15日、陝西省宝鶏市の拘置所から父に、「王乖彦が施設内で生活するために、日用品を買う金が必要だ」という連絡が入った。単身赴任中の父は、その一報で初めて母が勾留されていることを知ったという。日本では考えられない対応だ。

私は「明慧ネット」という安全な情報サイトを通じて、母が他の法輪功学習者とともに不法に逮捕されたことを知った。すぐに中国の公安や拘置所などに電話連絡したが、親族との会話は一切許されなかった。

「真善忍」を肝に銘じて

1998年、私が6歳の時、家族で法輪功の修煉を始めた。

当時、持病を抱えていた両親は、中国で人気の健康法である気功に目を向けた。なかでも法輪功は、奇跡的な健康効果から中国全土で一大ブームを起こしていた。

1999年以前、広州市で煉功を行う約1,000人の法輪功学習者(ganjingworld.com)

両親は法輪功の「真・善・忍」の理念に深く感心し、病気治療のことを忘れた。「これこそ自分が待ち望んでいたものだ」と思ったそうだ。修煉を始めたら、いつの間にか病気も治った。

母は修煉する前、些細なことにもこだわる人だった。法輪功を修煉してからは、他人のことを優先して考えるようになり、寛容さや慈悲の心、道徳を重んじるようになった。私は当時から「真・善・忍」の教えをずっと肝に銘じている。

国家ぐるみの迫害

1999年には、法輪功学習者の数が当時の中国共産党員の数(約6350万人)を上回った。

当時の共産党トップ・江沢民は、そんな法輪功の人気に嫉妬し、恐怖を覚えた。「真・善・忍」の理念が広がれば、嘘と暴力で維持されている共産党政権の支配は崩れてしまうからだ。

そこで、江沢民は法輪功への迫害を始めた。それまで中国全土で広く称賛されていた法輪功は、一夜にして「危険なカルト」として中傷されるようになった。

法輪功に対する迫害は国家規模で行われた。多くの地域の学校で、法輪功に反対する署名活動や宣伝活動が実施され、教科書には法輪功を貶める内容が記載された。法輪功学習者を発見して警察に通報した国民には、奨励金が与えられた。

母の上司は公安に協力し、給与を月2万円以下にカットした。母の修煉を放棄させるためだった。私が子供の頃に法輪功を一緒に学んだ友達とは、迫害が始まってからはほぼ誰にも会ってない。親が殺されてしまった子も2,3人いる。

実際に、中国の法律では、法輪功は違法とはされておらず、カルトでもない。 2011 年 3 月 1 日、中国新聞出版署長は、法輪功関連印刷物の出版を禁止する 50 号の禁止命令を取り消し、法輪功の全ての出版物や宣伝資料が合法であると宣言した。

法律の明文で規定されていなかれば罰することはできないというのは、法の基本原則だ。法輪功を「カルト」と定義した唯一の文書は、最高人民法院と最高人民検察院が出した内部通知に過ぎず、これらは法的な根拠としては成立しない。

恐怖が消えた

再び先月の話に戻る。母が拉致されたと聞いて、私は様々な政府機関に電話をかけ、母の釈放を求めた。

政府関係者に電話をかけるのは初めはかなり怖かったが、ある時ふと「彼らも怖がっているのではないか」と気づいた。彼らは自分たちの悪事が暴かれることを恐れている。そのことに気づくと、私の恐怖心はだいぶ消えた。

私は大紀元の記者として、中国共産党にとって都合の悪い真実を日本社会に伝えている。これまでは、中国にいる家族が嫌がらせを受けることを心配して、本名と顔を出さないようにしていた。

今回、母の救出活動をきっかけに、その心を捨てた。私が堂々とすればするほど、法輪功迫害に対する世間の関心が高まれば高まるほど、中国当局は私の家族への迫害をためらうだろう。

母・王乖彦さんの解放を求める張一文さん(藤野偉/大紀元)

母は恨まなかった

私はこれまで、無実の人々を逮捕し、裁きにかける中国の役人を、全員悪者だと思っていた。しかし、母は違った。

母は7年前にも拘束されたが、その時の法廷での陳述で、「法輪大法の信念を迫害する行為は犯罪にあたるので、その罪を犯して悪業を積まないでほしい」と役人に呼びかけ、迫害停止を訴えていた。母の慈悲深さと真相を伝える姿勢は、裁判官や検察官に深い感銘を与えたそうだ。

最近初めてその陳述について知った。直接迫害を受けた母には怨恨の心がないのに、私には中国共産党の嘘に騙された人々を責める心があった。そんな自分の怨恨心を私は恥じた。

無関心の恐ろしさ

多くの人は「法輪功は自分には関係ない」と思って、この問題を無視している。多くの中国人は、共産党のおかげで自分の暮らしがあると思い込んでいるからだ。

私は日本で信仰の自由を享受できている。しかし母国では、友人や家族が信仰を貫こうとしただけで家庭や仕事、自由、そして命さえも失っていくのを目の当たりにしてきた。

この恐ろしい迫害を国民が黙って見過ごしたことで、生体臓器摘出の被害者は法輪功学習者のみならず、少数民族、若者や子供たちにまで広がってしまっている。これは悲劇だ。

だから私は、声を上がることのできない人々の声を届けるため、そして日本の言論の自由を守るため、報道を通して自分ができることをしていきたいと思っている。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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