[東京 21日 ロイター] – 次期戦闘機の共同開発を進める英国・日本・イタリアが、事業体の本部を英ロンドンに置く方向で調整するとともに、3カ国以外の国を準パートナーとして迎え入れる可能性を議論していることが分かった。事情を知る複数の関係者が明らかにした。
参加国が増えれば各国の開発費が抑えられるほか、1機当たりの調達費も低減するメリットがある一方、事業が複雑化する恐れがある。
昨年末に共同開発を決定した3カ国は、2035年までに初号機を配備することを目指している。現在は基本構想をもとにどの国がどの部分を担当するか仕事の分担などを協議、共同事業体の組織づくりも進めている。
「本部は英国、トップを日本人にしてバランスを取る方向で調整している」と、関係者の1人は話す。
関係者3人によると、3カ国は対等なパートナーにみえるよう事業体を設立しようとしているが、英国と日本の役割が大きくなる可能性があるという。
英国防省はロイターの取材に「各国が重要な仕事を担い、高度な技術が必要な数千人規模の雇用が創出されることを見込んでいる」と回答。「本部の設置場所はまだ決定しない」とした。日本の防衛装備庁は、24年度中に設立する方向としつつも、「所在地を含め詳細は3カ国の官民で検討中」とした。イタリア国防省はコメントを控えた。
関係者3人によると、同プログラムには複数の国が関心を示している。英フィナンシャル・タイムズは8月、英国と航空防衛の分野で協力するサウジアラビアが参加を求めていると報じた。
民間企業として事業に参画するイタリアの防衛・航空宇宙大手レオナルドの首脳は今月15日、サウジが中核メンバーとして参加することはないと語った。
しかし、日英伊と対等なメンバーではなく、限定的な役割を負った準パートナーとして3カ国以外の国が加わる可能性があると、関係者3人は説明する。参加各国の資金負担が軽くなるほか、開発した戦闘機の市場拡大が期待できるためで、アラブ首長国連邦も関心を示しているという。
英国防省で同事業を担当するリチャード・バートン氏は先週、ロンドンで開かれた国際防衛装備展示会で、サウジの参画について将来の可能性を探る議論はあったが、それ以上の決定はなかったと明らかにした。イタリア国防省の関係者は「いずれサウジが参加する可能性がある」と打ち明ける。
次期戦闘機の開発事業には、民間企業として英国からBAEシステムズ、日本から三菱重工業が参加している。
(久保信博、Tim Kelly 編集:橋本浩)
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