中国共産党の建国記念日である10月1日に、機関紙は習近平氏が「躺平(寝そべり)を防止」するという発言を公開した。専門家は、習氏のこの発言は内部の混乱に対応するものだが、実際の問題解決には体制の根本的変革が必要と指摘している。
「躺平(タンピン)」は激しい競争、仕事時間が長く、賃金も少ない、最近の一部の中国の若者に流行している風潮で、経済能力に欠け、買い物もせず、友人とも遊ばず、社会活動もせず、結婚して子供を育てたり家を買うなどなど、どれもしようと思わないというのが特徴だ。
中国共産党(中共)の機関紙「求是」に掲載されたこの記事は、中国経済が低迷して、失業の波が押し寄せている中「躺平(寝そべり)を防止」するという発表は多くの注目を集めた。
習氏は中共二十回党大会で完全な権力を掌握したが、事態は彼の予想を超えていた。習氏が自ら起用した外相や国防相も失脚し、経済は不安定で、国際情勢もかなり不利である。
時事評論家の王赫氏は「習氏は各界に自分の態度を示し、まだ状況をコントロールできることをアピールした。『求是』も習氏に合わせた」と指摘した。
台湾国防安全研究院、国防戦略および資源研究所の所長、蘇紫雲氏は10月2日にエポックタイムズの取材に応じ、おそらく現在の中共内部の政治的状況はかなり混乱しており、高官から一般市民まで、多くの人々が消極的な状態になっているため、習氏は要求を出す必要があると分析している。
渡米したエコノミストの李恒青氏によると、「躺平主義」が中国社会で広く受け入れられていることを、習氏はよく知っている。だからこそ習氏は寝そべり思考の拡散を特別に防ぐ必要があると考えている。しかし、問題の根本は習氏自身にある。習氏が解決すべき問題は中国社会全体の問題ではなく、中国の極左化という問題なのだ。
習氏は演説で産業チェーンとサプライチェーンの安全性を維持し、新しい挙国体制を健全化させ、「先導的なオリジナル技術の開発に取り組み、重要な核心技術の戦いに勝利したい」と語った。
蘇紫雲氏によると、「技術分野において、西側諸国は脱中国化を進めているため、習氏は部下に積極的な行動を望んでいる。習近平氏の目標と手段は相互に矛盾しており、中共の権威主義体制が変わらない限り革新を実現することは難しい」との見解を示した。
王赫氏は、状況は以前と異なっているので、国力と資源を集中しても大きな成果を出すことはほぼ不可能だとの見方を示した。
「過去10年間、中国の半導体産業は大きな進展が見られなかった。複数の半導体ファンドの幹部が失脚した。また、軍事面では、ロケット軍の問題が発覚し、上層部は全滅してしまった。国家全体で空母を開発しているが、中共の空母は実戦能力を持っていないと言われている」
「中共の官僚らは積極的に資金を申請する。嘘をついて『世界先進レベル』だと称し、資金を申請しているが、実際のところ、全くそうではない」
習氏はまた、科学者、企業家、芸術家などのさまざまな分野の専門家、特に若手の才能を持つ人に、イノベーションを奨励すると述べた。
また李恒青氏によれば、中共の公的機関に所属する科学者、国有企業の従業員は長時間の政治理念教育を強いられ、硬直した思考をもたらしており、イノベーションや発展とは正反対だ。挙国一致体制を導入し、国力と資源を集中して投入したら、より多くの資源が浪費され、成功する可能性が低下する。
「結局、さらに多くの産業チェーンが中国本土から移転し、雇用がますます悪化し、景気後退も進むだろう」
王赫氏は、寝そべり族という問題を解決するには、中共の体制を根本的に変えなければならないと語った。しかし、中共がそこまで改革するのは不可能なことだ。習近平氏もそのような決断を下すことはできず、単なる口約束に過ぎないだろう。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。