最近、中国の軍用機が台湾海峡の中央線の西側で、民間機の下に「隠れる」ような行動をした。台湾の元空軍副司令官は、軍用機は民間航空路を飛行してはならず、こうした民間機を「人間の盾」にする方法は軽蔑すべきだと述べた。
9月24日に、台湾ADIZ(航空防空識別圏)という軍事ファンのグループがフェイスブックに、午前8時30分頃に、M503航空ルートを南から北に向かって飛行する中国のY-9軍用通信指揮機を短時間検知したと投稿した。
今回、懸念されているのは、香港から上海浦東国際空港に向かうキャセイパシフィック航空のCX366便の位置と重なっていったことだ。
台湾ADIZは民間機を利用して軍機を隠蔽し、台湾の識別を混乱させるための戦術ではないかと疑っている。
10月5日、台湾空軍元副司令官の張延廷氏はエポックタイムズの取材に対し、このように航空機が重なる行為が戦争でどのように機能するかを説明した。
今回の飛行機の位置が重なったという現象は、2つの飛行機の位置が垂直で、民間の飛行機が上に、軍用機が下に位置している。レーダー上では、2機が同じ緯度と経度に見える。
張氏は「レーダーで見ると同じ光点であり、2機の飛行機は1機の飛行機のように見える」と述べている。
こうした方法で、民間機の下に1機だけでなく、複数の軍用機を隠すことも可能だという。
張氏によると、これまで中国の軍用機は挑発行為のために頻繁に台湾上空を飛行したが、民間機の下に隠れることはほとんど見られず、国際慣例に従って軍用機が民間航空路線を飛行することも許可されていないと指摘した。
なぜ中国軍機はこのような行動を取ったのか。張氏はそれは一種の軍事実験だと考えた。
「彼らは意図的にこのような現象を作り出して、台湾がどう対応するかを見ているのかもしれない」
また、同氏は「中共(中国共産党)はこうして、50機か100機の戦闘機を隠して作戦を行う可能性は否定できないため、台湾は警戒しなければならない」と主張した。
戦闘機が民間機を装った事件
これまでにも戦闘機が民間機を装い、敵を欺いた前例がある。
張氏は、そのような軍事作戦を2度成功させたイスラエル空軍を例に挙げた。
1つは1981年のバビロン作戦だ。イスラエル軍は、それぞれ2千ポンドの爆弾を積んだ8機のF-16を派遣した。そして護衛戦闘機のF-15の6機がF-16の盾として、民間機を装って密集編隊を組んで飛行した。レーダーからこれらの戦闘機は民間機の光点のように見えた。
もう一つはエンテベ空港奇襲作戦。1976年6月27日、テルアビブからパリへ向かうエールフランス機が、4人のハイジャック犯に乗っ取られた。テロリストは非ユダヤ人の乗客を解放し、100人以上のユダヤ人を人質にした。民間機を装ったイスラエルの特殊部隊はウガンダまで4千キロメートルを飛行し、空港ターミナルを急襲してテロリスト全員を殺した。
これらのイスラエルの2回の軍事作戦は純粋に民間機を装ったものであり、民間航空機をカモフラージュとしては使用していなかった。
しかし中国軍機は民間機の下に隠れていた。
張延廷氏は攻撃すれば市民が巻き込まれる可能性があるため、このような場合は攻撃してはいけないと考える。中共は事実上、民間機を人質にし、民間人を「人間の盾」として利用していると指摘した。
また張氏によると、中国の軍用機が他国のではなく、キャセイパシフィック航空の民間機の下に隠れているのは「意図的」な行為だとしている。キャセイパシフィック航空が香港の企業だからだ。
これまでの歴史において、中国共産党政権は人民の生死を一度も気にかけたことはない。
今回のハマスによるイスラエル侵攻で、3人の中国人が負傷し、少なくとも2人が死亡した。それにもかかわらず、中共当局はハマスを一度も批判していないのだ。
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