「羊頭狗肉」という漢語があるが、それと同じことが、現代の中国に存在するらしい。
このほど、中国における「ニセ肉」の闇産業チェーンの一端がニュースになった。ここで言う「ニセ肉」とは、例えば豚肉や羊肉などと表示しながら、実際には仕入れ値の安い「猫の肉」であったりする。つまり現代版「羊頭狗肉」なのだ。
なお狗肉(犬の肉)は、それを専門とする料理店もあるので珍しくはないが、さすがに「猫の肉」は、テーブル以外は何でも食べるといわれる中国人でも、日常的な食肉のカテゴリーには入っていない。
一部の広東料理などに猫肉をつかうことはあり、中国での猫肉の消費は一定量はあるとされるが、種類を偽って食用に流通させること自体、違法であり闇産業なのだ。
江蘇省張家港市で先月、動物愛護家たちが「不自然に、猫を運ぶトラック」を止めて、千匹を超える生きた猫を救出した。中国メディア「澎湃新聞」が伝えた。
猫の救出作戦に参加した動物愛護家はメディアの取材に対して、次のように語った。
「闇の販売業者は通常、非常に安い値段で猫肉を仕入れ、それを1キロあたり9元(約185円)ほどで売りさばく。これらの猫肉を買い付けた仲買い業者は、それを豚肉や羊肉などと偽り、1キロあたり60元(約1,200円)と仕入れ値の7倍近くの価格で市場で売る」
「猫を1匹でも捕まえれば、けっこうな儲けになる」と、この動物愛護家は語る。
動物愛護家らは、過去にも猫販売の闇業者のことを管理当局である「広州農業局」に告発してきた。しかし、当局からは「猫は管轄外だ」として、実態調査や流通に規制をかけることを拒否されたという。
そのため、警察に通報して、違法に猫を運んでいたトラックを止めたとしても、猫たちを預かって保管することができない。最終的には「猫たちを、その場で解放するしかない」という。猫販売の闇業者は、またそれらを捕まえるだけだ。
こうした活動をする動物愛護家たちは、メディアに対して「私たちが活動しているのは、動物への愛護だけでなく、食の安全を守るためでもある」と訴えている。
例えば、検疫を受けていない猫肉が串焼きやソーセージなどの加工食品に混入されれば、消費者は何も知らずにそれを食べることになる。そこには大きな安全上のリスクが伴うからだ。
四川省成都市で10月16日、女の子が犬に咬まれて負傷する事件が起きた。以来、ペットとして飼われている犬の調査や、リードをつけずに犬の散歩をする行為に罰則が導入された。各地では、野良猫や野良犬の捕獲や処分が、強化されている。
このようにする当局の言い分は「猫や犬を保護し、救助する」というものだが、実際には、中国国内で動物保護施設は不足しているため、捕獲された多くの猫や犬は殺処分されるか、食材として市場へ流通することになる。
2013年11月、江蘇省淮安市で、猫の肉を「ウサギ肉」と偽って飲食店むけに販売する闇業者が摘発され、ニュースになった。当時の中国メディアの報道は「中国では毎年、推定400万匹の猫が消費されている」と伝えている。
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