David Lawder
[サンフランシスコ 12日 ロイター] – アジア太平洋経済協力会議(APEC)ポリシー・サポート・ユニット(PSU)は12日、来年のAPECの成長率が低下し、25─26年は世界平均を下回るとの見通しを示した。
高金利による米経済の減速、中国の鈍い景気回復、米中の緊張による貿易への逆風が重しになるとしている。
APECの域内総生産(GDP)成長率は2023年の3.3%から24年は2.8%に落ち込むと予想した。25年と26年は平均2.9%で、世界全体の平均3.2%、APECを除いた地域の3.5─3.6%を下回る。
輸出制限に伴うインフレ持続や天候不順によるコメなどの農産物の価格上昇、肥料の供給網混乱などが下振れリスクとなる。インフレを抑えるには一段の金融引き締めが必要になり、成長がさらに鈍化する可能性がある。
中国の成長鈍化により23年はAPECのモノの貿易はほぼ横ばいとなるが、来年は回復し輸出は4.3%増、輸入は3.5%となる見込み。25年には輸出入とも4.4%へ拡大するが、26年には地政学的な分断により供給関係が混乱し、伸びが若干縮小すると予測されている。
PSUのディレクター、カルロス・クリヤマ氏は国家安全保障に基づく米中間の輸出規制や他の制限措置が供給網のコストを押し上げていると分析。貿易パターンが新型コロナウイルス流行前の状態を完全に戻ることは不可能だが、これ以上の分断化を避けることが需要と述べた。
米国と中国経済の再関与、リスクの低減、デカップリング(分断化)の回避がいかに重要かをこのデータが示していると指摘し「両国の安定した関係は誰にとってもウィンウィンの状況だと考える」とした。
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