米国務省は17日、日本に巡航ミサイル「トマホーク」400発を売却することを承認した。日本の反撃能力を高め、南西諸島の防衛力を高める。防衛の専門家は取材に対し、中国共産党の台湾侵攻が危ぶまれるなか、一刻も早い配備が有効だと指摘した。
400発の内訳は、旧式のブロック4が200発、改良型のブロック5が200発、それに伴うウェポン・コントロール・システムやサポート機器など。総額23億5000万ドル(約3514億円)で、2025年度から導入する。米国防総省は同日、売却について議会に通知した。
売却の理由について、国務省は、敵の射程圏外から攻撃する「スタンド・オフ防衛能力」を持つ巡航ミサイルを日本に提供することで、脅威に対処する能力を強化する、と説明した。軍備拡張を続け、一方的な現状変更を試みる中国共産党を念頭に置いているのは明らかだ。
導入計画の1年前倒しについて、軍事ジャーナリストの鍛冶俊樹氏は18日、「旧式でもいいから早めに配備したい」という日本政府の意向が感じられると指摘。
日本国内世論では旧式ミサイルを購入することに批判的な声もあるが、「兵は拙速を尊ぶという兵法の原則から見て間違いではない」と強調した。
トマホークは米軍が運用する射程1000キロメートル超の巡航ミサイルで、数々の実戦で投入され、戦果を上げている。航空機や海軍艦艇のミサイル垂直発射装置、地上発射機などで運用することができ、精密な攻撃が可能となっている。
米軍関係者もトマホークミサイルの導入に大きな意義を見出している。
導入の交渉段階だった22年11月、元米海軍大佐のジェームズ・ファネル氏はエポックタイムズの取材に応じ、「日本がトマホークミサイルを装備すれば、中国共産党の進出に対する抑止となる」と指摘した。
「これまで、北京の共産党指導部は反撃されることを考慮しなくてもよかった。しかし、日本がトマホークミサイルを南西諸島などの第一列島線に配備すれば、中国共産党の戦略的な計算を狂わせ、日本に対する攻撃的な姿勢を抑止することができるだろう」
また、ファネル氏はトマホークミサイルの導入が、2026年に始まる12式地対艦誘導弾の配備までのギャップを埋めるのに役立ち、中国共産党の脅威から日本を守るうえで大きな助けとなるだろうと語った。
取材に応じた元米海兵隊大佐のグラント・ニューシャム氏も導入について、「遅いとはいえ、決して遅すぎることはない」との考えを示した。
「日本では、中国の標的に対応可能な長距離ミサイルの装備は長らくタブーとされてきた」とし、自民党内の親中派や特定の省庁はトマホークの購入を快く思わないかもしれないが、「トマホークミサイルの購入は、日本上層部における親中派の勢力が没落した証」であると指摘した。
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