現在は豪州在住で、中共政府に対する異見者である孫立勇氏は18日、NTD新唐人テレビに対して、「同じ異見者仲間の孫林氏が17日、突然、不審な死を遂げた」と明かした。
孫立勇氏によると「(孫林氏は)南京の自宅で『国保』に殴り殺された疑いがある。現在、孫林氏の妻子は警察に脅されて、口止めされている状態だ」という。
中国の国保とは「公安局国内安全保衛隊」
また、これと同じ時に、複数の活動家のところに国保から通知があり「この件(孫林氏死亡)について話すな。南京に行くな」と警告を受けていることもわかった。
なお「国保」とは、中共の「公安局国内安全保衛隊」の略であり、全国の公安体制に組み込まれている「秘密組織」だ。中共政府に対して異見をもつ人士のほか、人権派弁護士や民主活動家を監視、尾行、弾圧、不当拘束するのがその任務である。
その国保が、対象となる人物に狙いをつけ、暴行して死に至らしめる事態になっている。
「(孫林氏は)殺されたに違いない」
孫立勇氏によると、「17日昼頃、南京市『国保』の王達という大隊長は、部下を引き連れて孫林氏の自宅に行った。その直後、近隣住民は孫林氏の家から格闘する物音がしたのを聞いている。約1時間後、負傷した孫林氏は病院に運ばれたが、その後死亡した」という。
遺族は「孫林の遺体を見たい」と求めた。これに対して国保は「18日午後まで待てば会える」と言っていたが、その日時になっても遺族は遺体を見ることはできなかった。遺族が、医師や看護師に孫林氏の様子について尋ねたところ「病院へ着いた時は、服装が非常に乱れていた」と回答したという。
孫立勇氏によると「孫林氏は国保が家にやってくる3時間前、家族と電話で話していたが、その時は変わった様子はなかった。また、孫林氏は亡くなる3日前には総合的な身体検査をしており、健康だった」と明かしている。
孫林氏の急死について、孫立勇氏は「彼は殺されたに違いない」という。
中共は今「極端な道を走っている」
孫立勇氏は、かつては中国の警察官として8年間務めたが、その後、政府に異見を申し立てたため7年投獄される経験をもつ。
そんな孫立勇氏は「中国共産党のやり方を(私は)知っている。今、共産党が全ての異見者に対してやっていることは何か。とりあえず『殺す』ことだ。彼らは今、極端な道を走っている」という。
孫林氏は、1955年生まれの江蘇省南京市民で、南京市政府傘下の新聞社「今日商報」で編集者を務めたこともある。国際ジャーナリストNGOの国境なき記者団(RSF)のメンバーでもあった。
孫林氏の個人SNS・ツイッターの投稿は、死亡した日である11月17日で更新が停止されたままになっている。孫林氏の投稿内容は、全て「中共が好まないもの」だった。
孫林氏のSNSが更新されないことに気づいた友人の李青さん(女性)は、孫林氏になんとか連絡を取ろうとしたが、できなかった。
李青さんは「(私の)夫は中共の当局者によって殺された後、遺体を河へ捨てられた。中国では多くの陳情者が当局者によって殴り殺され、その遺体が山に捨てられているのを知っている。だから(孫林氏のことが)とても心配になった」という。
孫林氏をよく知る豪州在住の李雋氏は、自身のSNSで次のように投稿している。
「孫林氏は、長年にわたって中共に勇敢に立ち向かってきた。彼は警察や国保を相手に、屈せずに戦ってきた。彼は紅二代(中華人民共和国の建国初期に貢献した高級幹部の子弟)の人間であったが、中国の低層で多くの取材を行い、その情報を危険を冒して国外へ発信してきた。そのため、長期的に国保に目をつけられ、弾圧されてきたのだ」
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