日本政府 医療費未払いの外国人の再入国拒否へ 中長期滞在者も対象

2025/06/06 更新: 2025/06/06

6月6日、政府は「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」を開催し、訪日外国人による医療費未払い対策を強化する方針を決定した。一定額以上の未払い歴がある外国人観光客と中長期滞在者の再入国を制限する方針だ。2024年の訪日外国人3686万人に伴う未払い総額約6135万円の深刻化を受け、厚生労働省が未払い情報を出入国在留管理庁に提供し、入国審査を厳格化する。

厚労省は、医療機関が登録する「訪日外国人受診者医療費未払情報報告システム」を通じて未払い情報を収集し、出入国在留管理庁に提供して、入管はこれを入国審査に反映し、悪質な未払い(金額基準は非公開)に対し、再入国拒否を適用する。

2024年9月の厚生労働省調査では、外国人患者1万1372人の0.8%が未払い(総額約6135万円、最大1846万円)で、医療機関の負担が増大中だ。また、観光庁の2024年調査では、訪日観光客の約30%が旅行保険未加入で、未払いリスクを高めている。

現行制度では、在留期間3か月を超える外国人には、国民健康保険(国保)加入を義務付けているが、未加入や保険料未納が問題となっている。厚労省によると、2024年4~12月の外国人世帯主の国保納付率は、150市区町村の平均で63%(全体の納付率93%)。6月3日、日本維新の会の柳ケ瀬裕文参院議員は、参院外交防衛委員会で、東京都新宿区のデータを基に外国人による未納額が全国で10年間約4千億円に上ると試算した。

新方針では、国保未加入や税金(所得税・住民税)未納がある中長期滞在者の在留資格更新を厳格化するほか、出入国管理のデジタル化を推進。2028年度からオンライン事前審査制度「日本版ESTA」を導入し、短期ビザ免除国からの渡航者に、職業や渡航目的の事前申告を義務付ける。在留審査手数料の見直しや出入国管理システムの改修も進める。

政府は、2025年度の経済財政運営方針(骨太の方針)に、保険加入促進策を盛り込み、医療機関の負担軽減と未払い防止を目指す。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。