中東イエメン南部アデン沖で、イスラエルが関係する石油タンカーが乗っ取られた事件について、米海軍はソマリア籍の5人を拘束したと発表した。日本の海上自衛隊が情報提供など支援を行ったが、中共軍はタンカーが発した遭難信号を無視した。
木原稔防衛相は28日の会見で、英国会社が運航するリベリア船籍タンカー「セントラルパーク」が26日、乗っ取りにあったとの情報を受け、海賊対処部隊の海上自衛隊の哨戒機「P-3C」および護衛艦「あけぼの」を現場に急行させ、警戒監視・情報収集にあたらせたと述べた。
米国務省のライダー報道官によれば、事件現場の近くにいた中共海軍艦船3隻は、援助に当たらなかったという。「3隻の中国海軍艦船は、イスラエル関連の船からの遭難信号を無視することを選んだ」と述べた。
中国もまた中東海域に海賊対策艦隊を展開しており、アデン湾とジブチの中国海軍基地を保護を目的としている可能性が高い。
救援に関わらなかったことについて、米紙は中東地域における能力が明らかになることや、被害船がイスラエル関連だったことなどから政治的動機による行動を避けた可能性があると米紙は指摘している。
中共軍は過去、米軍や海自、シンガポール軍、韓国軍などからなるソマリア沖の多国籍海上部隊の海賊対策訓練に参加したこともある。
米軍によれば、その前後にイエメン内陸部からフーシ派武装組織が弾道ミサイル2発が発射された。現場に展開していた米軍艦「メイソン」および「あけぼの」の18.5キロ手前に着弾した。タンカーや各海軍艦船の乗船員らは無事だった。
メイソンは10月7日のハマスによるイスラエル攻撃後に派遣されたアイゼンハワー空母打撃群に加わり、アデン沖地域に派遣されている。米政府高官は、イランを含む外部要因による紛争の激化を防ぐ目的があると説明している。
ライダー報道官によれば、ハマスのテロ攻撃開始以来、この地域で米軍に対する攻撃は73件にのぼると明らかにした。数十人の兵士が負傷しているが、ほとんどは軽傷という。
中東が緊張した情勢を迎える中、海賊はアデン湾での不法行為を利用している。木原氏は、「引き続きソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動を実施する」と述べた。
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