「食料を備蓄せよ」と市が呼びかけ 「また都市封鎖する気か」と市民パニックに=中国 浙江

2023/12/05 更新: 2023/12/05

中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染が、再び猛威を振るっている。中国各地で発熱や肺炎をともなう呼吸器系の感染症が爆発的に流行するなか、浙江省義烏市の公式SNS「ウィーチャット(微信)」アカウント「中国義烏」は1日、市民に対し、15日分以上の食料を備蓄するよう呼びかけた。

義烏市の現地メディアも3日、市民に対して「10日分以上の食料を備蓄するように」との、市の食糧安全当局である「市糧食安全工作協調小組辦公室」の提案を掲載した。

複数の公的機関から発せられた「食料備蓄」の呼びかけに、同市の市民は驚き、一時パニックとなった。

「また都市封鎖する気か」。そうした市民の不安の声が一気に広がったが、その後、食料備蓄を呼びかける市政府からの通知は削除されている。

よみがえる忌まわしい記憶

世界最大級の日用雑貨卸売市場がある義烏市では、まだゼロコロナ期間中であった昨年の4月や8月にも都市封鎖(ロックダウン)を実施しており、世界のサプライチェーンに影響が出ていた。

その際には、全市民を対象とするPCR検査のほか、封鎖地域の住民の移動・外出を厳しく制限された。レストランでの飲食は禁じられ、複数のレジャー施設が閉鎖、市内のすべての公共交通機関が運行停止となった。また当時は、市民が公共施設に出入りする際には「24時間以内の有効なPCR検査証明書」を提出しなければならなかった。

2022年12月7日まで、約3年間にわたって続けられたあまりにも無謀で強制的な隔離政策を含む「ゼロコロナ(清零)政策」が、中国国民に多大な苦難と損失をもたらしたことは言うまでもない。

あのゼロコロナの悪夢から1年が過ぎた。まもなく2023年を終えようとする今、事態は収束に向かうどころか、まさに「津波のようだ」と形容されるほどの疫病の大波が中国に襲いかかっている。

それに呼応して、ゼロコロナ時代を代表する「白服の防疫要員(大白、ダーバイ)が返ってきた」「上海の空港でPCR検査が再開された」「各地で健康コードにログインできるようになった」「方艙医院がまた使われ始めた」などといった、かつての感染症対策が復活したという情報が沸き起こった。

今回の「都市封鎖」を想起せざるを得ない食料備蓄の呼びかけは、義烏市民だけでなく全ての中国人に、その脳裏に焼き付いた「ゼロコロナ」や「都市封鎖」の忌まわしい記憶がよみがえったに違いない。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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