まもなく2023年を終えようとする今、まさに「津波のようだ」と形容されるほどの疫病の大波が、世界のなかで、なぜか中国だけに襲いかかっている。
それに呼応して、ゼロコロナ時代を代表する「白服の防疫要員(大白、ダーバイ)が返ってきた」「各地でPCR検査が再開された」「各地で健康コードが使用されるようになった」「方艙医院がまた使われ始めた」などといった、かつての感染症対策が復活したという各地からのネット情報が沸き起こった。
そのようななか、広州での国際会議に続き、今度は北京の「人民大会堂」で開かれる会議の参加者に対して「PCR検査証明書」の提出が求められていることがわかった。
今月6日、中国のアパレル産業が加盟する全国組織である「中国紡織工業連合会」は、北京の天安門広場にある「人民大会堂」で表彰大会を開催した。ネットでも公開されている同会議に関する項目のなかには、会場へ入るには「24時間以内のPCR検査の陰性証明の提出が必要」と書かれている。
昨年12月まで続いた、中国共産党による約3年間の「ゼロコロナ政策」のなかで、この「陰性証明が必要」という条件が、どれほど中国人の日常生活を制約し、その苦痛を増したか知れない。スマホ画面に表示される「検査結果」は、時に当局によって、恣意的に操作されていたのではないかとも疑われている。
いずれにしても「ゼロコロナ政策」の基本方針は徹底した隔離であった。その効果の有無はともかく、全ての中国人にとって、それは思い出したくもない「忌まわしい記憶」なのだ。
ネット上には、この会議の参加者と思われる市民の「PCR検査受けたことの証明書」の画像も流れている。そこには「PCR検査済み(已做核酸檢測)」や日付のほか、大会運営者とみられる組織の赤いハンコが押されている。
これに先立ち、12月1日から広東省広州市で開かれた「中国を読み解く(読懂中国)」をテーマにした国際会議でも、事前に「PCR検査が行われた」と参加者が明かしている。
このほか、上海の空港においても、到着した乗客に対してPCR検査を始めたことがわかった。
今月4日、上海浦東国際空港の職員である馬さんは、米政府系放送局のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し「空港に到着する外国人旅行者の多くは、PCR検査を受けなければならない」と明かした。
馬さんによると「表向きには『抜き打ち検査』という。しかし実際には、同じ便に搭乗してきた乗客全員がPCR検査を受けさせられていたのを、私は見た」という。
また、馬さんは「感染症パンデミック期間と同じように、いまでは機内の消毒作業も行われており、多くの地域では感染症対策アプリである『健康コード』が再び使用されている」と述べた。
こうした「かつての感染予防対策」が次々と再開されたことは、中国における感染症流行の状況が、すでに深刻なレベルであることを如実に物語っているといってよい。
現在、中国において、感染症によるとみられる死者が出ている情報はSNS上で絶えない。しかし、中共の公式メディアは、その死者数について、ほとんど報道していない。
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