このほど、ある中国人企業家によるSNS投稿が、当局の検閲にひっかかたことがわかった。
その内容は「人工知能(AI)大国」を自負する中共当局を大いに皮肉ったもので、中国は「AI技術を人間の監視や人の財布(金銭)狙いに使っている」と一刀両断。つまり、中共の自慢気な顔に、たっぷり泥を塗ったのである。
中国共産党の対外プロパガンダメディア「中国国際テレビ(CGTN)」によると、先月末、浙江省で開かれた「世界インターネット大会」は、その白書のなかで「2019年の中国のAI関連の特許出願件数は初めて米国を抜き、世界一になった」と公表した。
これに対して今月2日、中国の有名な投資研究プラットフォーム「格隆匯」の創設者である陳守紅氏は、自身の中国版ツイッター・微博(ウェイボー)アカウント「格隆」で、このように投稿した。
「悲しいことに、中国のAIは主に『人を監視すること』や『人の財布を狙う』ために使われている」
これはまさに、真実を突いた「鋭い皮肉」であった。そして、それが真実であるからこそ当局のネット検閲にひっかかったようで、投稿後まもなく削除されたばかりか、陳守紅氏のアカウントまで「禁言」つまり投稿を禁じられたのである。
中共の検閲当局を怒らせた「真実」の部分を邦訳すると、次のようになる。
「中国のAI関連の特許出願件数は一見、人を奮い立たせる数字だ。しかし、つぶさに研究すると、これはまことに悲しく、気恥ずかしいデータである」
「このほど、世界インターネット大会で『中国の人工知能特許出願件数が世界一になった』という発表があった。しかし実際のところ、どうであるか。中国AIの現場での応用を見ると、その利用目的別の統計では、最も多く使われているのが安全保障分野(53.8%)。2番目は金融分野(15.8%)。3番目はマーケティング(11.6%)だ」
「つまり我われのAI技術は、人間の監視や、人の財布(金銭)狙いに、使われているのだ」
この「問題の投稿」から5日経った12月7日時点でも、同アカウントはまだ投稿停止の「禁言」状態にある。
「格隆匯」創設者・陳守紅氏のSNSが「禁言」にされた件をめぐり、ツイッター上では「彼は真実を話しただけ」「ほらね。彼の言っていること(AIが人を監視している)が正しいという、その裏付けになったよ」といったコメントが多く寄せられた。
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