中国西部の甘粛省臨夏回族自治州積石山県で18日深夜、マグニチュード(M)6.2級の地震が発生した。震源の深さは10キロ。
地震発生後、青海省海東市中川郷の2つの村には高さ3メートルにもおよぶ「泥の波」が押し寄せ、多数の家屋が倒壊。村民は外部との連絡を断たれ、閉じ込められた。
20日、なぜか当局は「救援作業は基本的に終了した」と発表した。20日の午後9時時点、地震による死者数は131人、負傷者は980人、行方不明者が16人と公表されている。
外部からの民間救援を、なぜ拒否するのか
しかし、中国共産党当局は、災害が起きるたびに一貫して被害情報の隠蔽を行っているため、今回の地震による実際の死傷者数も、公式発表をはるか上回る可能性がある。
地震などの大災害が発生した後、人命救助のタイムリミットは「72時間」といわれている。ネット上に流出している動画や画像によると、被災地では多数の建物が倒壊していることは明らかだ。
瓦礫の下敷きになった被災者にとっては、まさに一刻一秒を争う窮地である。しかし、中国共産党の現地当局は、まるでそれを見捨てるような、人命を完全に無視する判断を下していた。
被災地の甘粛省当局は地震発生後、いちはやく外部からの民間救援の申し出を拒否した。そのことで、ネット上では「中共は、またしても災害の実態を隠蔽しようとしているのか」と疑う声が広がっている。
今年7月末から8月にかけて、河北省の涿州を中心に起きた大洪水の際にも、現地当局は外部からの民間救助隊の現地入りを拒否した。さらには、純粋な救助の意思をもって被災地に駆けつけたボランティアチームを阻止し、追い返すなどの異常な行動をとっていた。
当局が外部からの救援隊を被災地に入れない理由は、被災地の惨状や真実の死傷者数が外部に知られるのを防ぐ狙いがあると普遍的に疑われている。
地震発生時は深夜であったため、多くの人は防寒着を身につける暇もなく屋外に逃げ出している。なかには布団をかぶったり、上半身裸のまま飛び出した住民もいた。
現地で救援に当たっている隊員は、中国官製メディアに対して「今回の救援における最大の難関は、この気温の低さだ」と明かしている。
被災地では、最低気温が零下14度まで冷え込んでいるため「(タイムリミットは)72時間もないかもしれない」という。
今回地震が起きた「積石山県」は、甘粛省の省都・蘭州から南西へ約100キロ行った山間部である。
「この地域の建築物は、ほとんどが泥やレンガ、木材を混ぜた造りになっている。そのため地震に弱く、深刻な被害が出ている」と救援隊員は語る。
またも「情報封鎖に躍起」の当局
地震の翌日(19日)、青海省政府や同省地震局は地震関連の記者会見を開き、次のように主張した。
「いまネット上に流れている地震関連の分析や判断について、それが政府当局から正式に発表されたものでなければ、全てデマだ」
つまり、中共当局は「政府発表でない情報は、全てデマだ」と決めつけたのである。
当局によるこのような情報封鎖をめぐり、中国SNSでは「真相を握っているのは当局だけというのか」「要するに、デマの判断基準は、真実か否かではなく、公式発表か否かということか」といった非難の声が広がっている。
甘粛省の地元メディアによると、この記者会見の前日(18日)に、当局は余震に関連するデマを散布したとして地元民2人を逮捕し、処罰している。しかし地震の本震は、その18日深夜に発生する。結果論としては、デマのほうが「的中した」と言えるのかもしれない。
甘粛省での地震発生から約12時間後、新疆ウイグル自治区クズルス・キルギス自治州アルトゥシュ市でも12月19日午前9時46分に、マグニチュード(M)5.5の地震が起きている。こちらも震源の深さは10キロで、被災状況は現在のところ不明である。
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