形式主義に陥った中国共産党 官僚組織内での対立が深刻化

2023/12/23 更新: 2023/12/23

「指尖形式主義」という言葉をご存知だろうか。中国共産党(中共)の官僚組織下で、表面上は問題に取り組んでいるように見せかけ、何も実質的な行動はしない行動や態度を指している。

日本でも組織が硬直化した企業などの問題点として同様の指摘をされることもあるが、ある分析によれば、中共は官僚が仕事を怠るのを恐れ、デジタルでの管理を推進したものの、かえって官僚たちは電子業務を利用して腐敗を行い、組織内での対立が深刻化しているという。

最近、中共のネットワーク安全情報化委員会は、この「指尖形式主義」を防ぐためのいくつかの意見を発表した。目標は、1年から2年の間に統合管理、審査登録、評価フィードバックなどを確立し、3年から5年で常態化監視措置と長期的な作業メカニズムを強化し、「指尖形式主義」の反発を防ぐとされている。

外界からは業務プロセスの最適化や管理効率の向上どころか、行政資源の無駄遣いを行い、末端組織の負担を増やす一種の形式主義に陥っていると指摘されている。

この点について、中国問題の専門家である王赫氏は12月19日、大紀元に対し「各地の政府が成果を上げるために虚偽の報告書を作成し、形式的な作業に励むことで、共産党による末端組織統治に大きな障害が生じている」と述べ、中共も山のような形式主義が社会統制に影響を与えていることを認識しており、調整が必要で、この過程に5年はかかるとした。

「中共が何かをやろうとすると、常に人々の心を得られず、皆がそれを軽視する」

9月30日、中共の機関誌「求是」は、中共党首の習近平の発言を掲載し、社会の世論を強化し、「消極的な躺平などの不健全な思想の広がりを防ぐ」必要があると述べた。

中国の有名なメディアグループの高官、晉華(仮名)氏は最近、大紀元に対して、体制内の官僚との接触から、現状の体制に不満を持つ官僚が大多数であることを語っている。彼らは、党首の10年以上にわたる逆行と無計画な行動によって、経済が停滞し衰退している現状に不満を持っているという。

王赫氏は、これらの状況は当局にとっても明らかであり、「官僚システム全体が、誰も先に動かず、上からの指示があれば形式だけの対応をする。そのため、現在、上位のどの政策も、下で実施するのが非常に困難だ」と指摘している。

王赫氏はさらに、「今の状態は、お互いに騙し合っている状況だ。例えば、国家情報化委員会は、習近平が直接委員長を務めており、官僚は何か行動を起こさなければならない。習近平が多くの面に不満を抱いているため、上からの圧力がかかり、下では何かを行わなければならない」と述べている。

王赫氏は中共は、市民を監視、コントロールする方法の一つとして、政府が電子業務ネットワークを開設し、人々に宣誓や報告を行わせ、共産党の浸透と管理を至る所に及ぼしていると指摘した。

王赫氏は、その効果に大きな疑問符を投げかけている。

「形式主義が批判される理由は、その効果が悪いことを彼ら自身も知っているからである。実際、大きな腐敗問題が存在している」

「すべての政府のプログラムには、設計や開発が必要であり、それには資金も必要である。その資金は上層部から要請されるが、最終的には誰の手に落ちるのだろうか?したがって、多くの腐敗利益が絡んでおり、事情は複雑だ」

王赫氏は、各プログラムの背後には資金があり、設計、開発、運用、維持に多くの関与があるため、利益集団が形成されていると分析する。財政がすでに厳しい状況にある中、彼らは機会を見つけてはそれぞれの利益を追求し、上層部を悩ませている。

王赫氏は「そのため、共産党内の官僚は仕事をせずに金を受け取り、資金を申請する理由を見つけ出している。これが上層部を悩ます要因となっている」と述べた。

ワシントン情報戦略研究所の経済学者、李恒青氏は19日、「習近平の現在の仕事ぶりは、好んで大風呂敷を広げ、考えついたことはすぐに行動に移す。そして強引に進める。自分に従わなければ、すぐに解任したり、逮捕したりする。贈賄は誰もがしているので、必ず、逮捕できるのだ」と分析する。

また「この時、部下は怖くなり、習近平に従って行動する。何かを台無しにしたらどうするか?(彼は)責任転嫁し、あなた達の責任だと言い、自分の良い計画を台無しにしたと非難する」

「中共の現在の論理は混乱しており、行き詰まっている。敗北しそうな時に追い詰められると、必死になって無謀な行動に出る。そんな状態だ」と述べた。

王赫氏は「中共の指導層のごく少数の人々と、広大な官僚階層が深刻な対立を生んでおり、中共内部は既に崩壊している」と述べている。

程静
駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。
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