中国経済へのネガティブ発言が国家安全法違反に 中国投資がリスキーな理由

2023/12/30 更新: 2023/12/30

「大紀元時報」の総編集長、郭君氏は新唐人テレビの番組『菁英論壇』で、香港のハンセン指数は現在1600ポイントあまりで、1997年の水準に戻っていると指摘した。

2000年にGEM市場(香港証券取引所に開設した新興企業向け市場)が設立されたとき、指数は1千ポイントで、ピーク時には1800ポイント以上まで上昇した。現在はわずか20ポイントで、ほぼゼロだ。 香港は本土経済と高度に統合され、もちろん外資も香港から撤退し、香港の中産階級も逃げ出している。香港市場の情況は実によくないし、好転の可能性も見えない。

香港の不動産市場も非常に悲惨だ。本土ほど不動産価格が下がってはいないものの、基本的に市場はなく、取引も少なく、誰も買う勇気がない。 

今香港で流行っているのは、例えば住宅を買う場合、その家を売っている人がお金を貸し、返済は後でもよいというものだ。賃貸の場合でも、その家を買うのであれば、家賃を家の購入資金に計上してもいいと言ってくれたりする。持ち主は住宅を買わせるために、あらゆる方法を使っている。

香港周辺の住宅価格も下落し続けている。恵州市の大亜湾では、海が見える家が以前は100万元(約2千万円)以上したが、今では15万元(約300万円)と1997年よりもさらに安く買える。中山市では、以前は300万元(約6千万円)以上した別荘が今では50万元(約1千万円)ほどで買える。珠海や深セン、広州を含むグレーターベイエリア(香港、マカオ、広東省の9都市を結ぶ、世界最大かつ急成長中のベイエリア)全体の住宅価格は下落している。

12月18日、日本経済研究センターは、中国に金融危機が起きた場合の経済見通しを発表した。 私見では、金融危機はすでに到来している。 日本経済研究センターは、中共政府は現在、強力な財政力で金融システムを維持しているが、遅くとも2027年に金融危機が勃発すると考えている。いったん金融危機が発生すれば、少なくとも8、9年、あるいは10年は続く、つまり回復には2035年以降までかかる。 

郭君氏はこの保守的な見方に同意していない。中国の現在の状況は、確かに1991年以降の日本の状況にやや似ている。中国経済はもともと日本を模倣したもので、金融部門の人為的な低金利が長期間続いた。中国経済の状況は、深刻な資本バブル、レバレッジの効きすぎた金融機関、債務が大きな割合を占める、輸出の後退、米国との貿易摩擦など、1990年代の日本と非常に似ている。

中国と日本の現状が異なり、政治構造も異なるため、郭君氏はその報告書よりもさらに悲観的だ。共産主義の国は特に強硬な政策が特徴で、危機には特に強いのだ。しかし強硬であるがゆえに特にもろく、ある一線を越えると簡単に壊れて崩壊しやすい。つまり短期的にはあらゆる社会的危機に対処できるが、危機に負けると、潮が引くように社会全体が突然崩壊する。したがって、中国は当時の日本よりも危険だという認識を示した。

経済衰退と発言すれば取り締まられる

中共が打ち出した景気対策は、「中国経済の未来は明るい」という中国経済光明論を唱えること。今年の中共中央経済工作会議の主要施策の一つとなっている。 中共国家安全部は、中国経済に関する発言は国家安全保障の範囲内のものだと何度も強調してきた。かつて国家安全部は目立たないようにしていたが、今では陳一清・国家安全部長が自ら多くの経済会議に出席している。

現在、中国では中国経済について良いことならば、どんな自慢話でも、でたらめを言っても構わない。しかし、経済が悪いと言えば、それは国家安全法違反となる。 中共の専門家でさえ経済が良くないと言うことは許されていない。

例えば、中国人民大学資本金融研究所の所長で民生銀行の取締役である劉紀鵬氏は先日、一般人は当分株式市場に手を出すべきではない、リスクが大きすぎるからと発言した。その後、彼のウェイボーアカウントはブロックされた。

公開情報によると、劉紀鵬氏は中国本土の株式会社制度と企業問題の専門家で、現在は中国政法大学資本金融研究院の学部長、教授、博士課程の監督者であり、同大学の副学長を務めている。全国人民代表大会「証券法」、「企業国有資産法」、「証券投資基金法」、「先物取引法」の起草グループメンバーである。

郭君氏によると、中共政権の仕組みには、実は多くの問題や欠点があるが、最も馬鹿げているのは、市場経済を行う一方で、世論統制を行い、言論を統一させていることだ。投資市場、または投機市場で、楽観的な人が買い、悲観的な人が売って初めて取引が成立する。これは基本常識だろう。 誰もが楽観的であれば、誰も売らず、誰もが買いたがり、市場で取引は行われなくなる。

中国の株式市場を見ると、株式であれ、先物であれ、不動産であれ、最大の特徴は一方的な市場であるということだ。上がるときは必死に上がるが、下がるときはガタ落ちだ。変動幅が大きく、市場が非常に不安定だ。その理由は、このような言論統制にある。中国資本市場のリスクが高い最大の理由の一つはこのような言論統制にある。

したがって、このような言論統制は逆に聞いた方がいい。当局が人々に良いことを言うよう求めるとき、つまり皆が「経済光明論」を唱えるとき、経済が深刻な問題を抱えている。成長が非常に低いこと、投資が非常に少ないこと、財政収入が減少していることを意味する。 もし経済の問題を語ることが許され、批判することが許されるなら、経済は過熱していることになる。 

今の状況は、癌の末期に全身が痛い状況のようで触れることは許されない。どんな発言もすでに国家安全保障に関わっている。中国経済は末期状態にあり、非常に危険だということだ。

(完)

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