「中国の月収2千元(4万円)未満の人口は約9億6400万人」がネット物議醸す 掲載記事は削除

2023/12/29 更新: 2023/12/29

今、「中国の月収2千元(約4万円)未満の人口は約9億6400万人」という数字が中国のネット上で激しい議論を呼んでいる。

12月25日、中国メディアの「第一財経日報」は、中国で月収2千元未満の人口は約9億6400万人だと報じた。中泰証券の首席エコノミスト李迅雷氏が寄稿で述べたこの数字が物議を醸した後、「第一財経日報」は記事を削除した。

李迅雷氏によると、不動産需要の観点から見ると、中国の1人当たりGDP水準は1994年の日本の3分の1に過ぎない。所得などの分布の均等度合を示す指標、ジニ係数の日本の数値は0.4以下だ。このジニ係数は0に近づくほど所得格差が小さく、1に近づくほど所得格差が拡大していることを示し、0.4と言う数値は警戒ライン以下で、消費に有利だ。

中国は、1980年代の改革開放の時代は「先富起来(先に豊かになれる者たちを富ます)」と言っていたが、2020年代の現在「未富先老(豊かになる前に老いる)」というプレッシャーに直面している。将来的には住宅に対する有効な需要が不足する可能性がある。

李迅雷氏の統計データでは、人口規模が1億人を超える国のジニ係数はほとんどが0.4以上であることが判明した。寄稿では、同氏は人口規模が大きくなるほど、所得分配の「分散」(不均衡)もそれなりに拡大すると指摘した。北京師範大学所得分配研究所が2021年に発表した調査データが中国の月収2千元未満の人口は約9億6400万人だと指摘したと述べた。

寄稿は現在、第一財経日報のウェブサイトとウェイボウから削除されている。

北京師範大学所得分配研究所は2019年に、性別・年代・地域といった特性をあらかじめ考慮して、中国人をいくつかの層に分けておき、各層の中から合計7万人のサンプルをランダムに抽出した。計算の結果、39.1%の人は月収1千元(約2万円)未満で、中国総人口に換算すると5億4700万人だった。月収1千元から1090元(約2万1800円)の人口は5250万人だった。月収2千元(約4万円)未満の人数は9億6393万人だった。

2019年中国一人当たりの月収分布と人口数

 

李克強前首相は2020年5月28日、全国人民代表大会閉幕後の記者会見で「6億人が月収わずか1千元(約2万円)だ」と発言し、大いに懸念され議論が広がった。

2020年6月15日、中共国家統計局は、この発言は公式調査データによって確認することができるとし、2019年に、中国では6億1千万人が平均月収1千元未満であったと回答した。

ネットユーザーによると、清掃員の月給は2600元(約5万2千円)、手当は一切ない。一部の地域では、警備の人の月給は1950元(約3万9千円)しかない。

夏松
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