【閲覧注意】本記事には、傷口などの画像が添付されています。ご注意ください。
1月13日、現地時間の午前8時より、中華民国(台湾)総統選挙、および同国の議会に当たる立法院議員選挙の投票が始まった。総統選挙は同日に即時開票され、中共に強硬な姿勢を明示する民進党の頼清徳候補が当選した。
投票日のこの日「台南市の複数の投票所で、通り魔事件が相次いで発生している」とする噂がネットに流れた。全く事実ではない、フェイクニュースである。
選挙当日「投票所で通り魔」のフェイク
一部のネットメディアが、この「事件」について報道したこともあり、市民の間で、投票所に行くことへの不安が広がった。
ネットで騒がれている「通り魔事件」に対し、台南市政府は13日午後「これまでのところ、市内の各投票所での秩序は良好で、いかなる暴力事件も起きていない。警察は投票する市民の安全を守っている」とする緊急通知を出した。
台南市政府はまた、各メディアに対し「ネット情報の事実確認を厳しく行い、誤った報道で市民にパニックを引き起こさないよう」呼びかけた。
13日午前9時19分、SNSテレグラムのグループチャットにおいて、何者かが「台南市の複数の投票所で、通り魔事件が発生した」と称し、画像を添付して送信した。
投稿内容は、以下の通りである。
「投票所で並んでいたら(投票所の)入り口に白いバンが止まった。手にナイフを持つ10数人の男が車から下りてきて、手当たり次第に、市民を無差別に切りつけた」
「私の夫も切られた。いま病院で手術を終えたばかりだ」
「もう投票に行く勇気がなくなった。台南市の人たちも気をつけてね。命を落とさないように」
この投稿に対し、別のユーザーも調子を合わせて「事件現場は、恐怖極まるものだった。大勢の男たちが、ナイフを振りかざし、市民を追いかけまわして切りつけた。おばあさんやおじいさんが、何人も切られて地面に倒れている。そこらじゅう、血が流れている。私の家族は、怖くて家に閉じこもってしまった。投票に行く勇気など、ありません」と送信した。
最初の投稿者に、計画的に調子を合わせた投稿であるか否かは、現段階ではまだ分からない。
背後に「中共の影」があるか?
恐怖による混乱を作り出し、投票に行く台湾の有権者を妨害しようとする意図が明確に感じられるが、こうしたフェイクニュースの背後にあるのは何か。
中国共産党は今回の台湾総統選挙において、多くの虚偽情報を散布してきた。そのため、今回のフェイクニュースも中共による選挙介入の一端であり、民主主義への妨害ではないかと考える台湾人は多い。
投票日の前夜にも、高雄市で事件が起きた。娯楽施設に男2人が侵入し、うち1人が天井に向けて銃弾を発砲。銃弾の衝撃で落下したコンクリートの破片が女性店員の頭に当たり、負傷した。男たちはその後逃走したが、約6時間後に警察によって逮捕されている。
この事件についても、現在調査中ではあるが、ネット上では同様に「背後に中共の影が潜んでいるのではないか」とする声が上がっている。
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