欧州議会は18日、中国共産党による法輪功学習者への迫害を非難する決議を採択した。信仰を放棄させるための拷問や虐待、恣意的な拘束が続いているとし、1999年から続く迫害によって少なくとも数千人が死亡したと指摘した。日本の議員は決議を受け、「人類史上最悪のジェノサイドに見て見ぬふりをしてはならない」と訴えた。
「欧州議会の英断を日本そして世界はよく考えるべきだ」ーー。逗子市議会議長の丸山浩章氏は大紀元の取材に対し、こう答えた。丸山氏は法輪功学習者の迫害に対し、長年声を上げてきた議員の一人だ。
今回の欧州決議に記載された法輪功学習者の拘束事案を受けて、丸山氏は昨夏、駐日中国(共産党)大使館に書簡を投函したり、強制臓器摘出問題を啓発する有志団体「SMGネットワーク」において、臓器を乱用する国への渡航防止政策の推進などを行っている。
丸山氏は、岸田政権で設けられた国際人権担当補佐官が2年足らずで不在になっていることに触れつつ、「隣国で行われている人類史上最悪のジェノサイドに対し、見て見ぬふりをすれば、日本は人権後進国になってしまうどころか、その蛮行に加担していることになる」と危惧を示した。「今こそ良心のある人は立ち上がり、行動するべき」と丸山氏は強調した。
欧州議会で採決された決議は、欧州機関、EU加盟国政府、中国共産党当局に送付される。これには、迫害や臓器収奪に関与した組織や個人に対して人権制裁を科すよう求めている。
決議には、昨年5月に不法に逮捕された山東省日照市の丁元徳さんと馬瑞梅さん夫婦のケースをあげている。現在ドイツ在住の息子・丁楽斌さんは決議を受けて、欧州の議員に謝意を述べつつ、迫害や拘束は「私の父のみの話ではなく、中国で苦しんでいる何百万人もの法輪功学習者の窮状である」とした。
法輪功(法輪大法とも)は、「真、善、忍」の道徳的な理念に、坐禅と4つのゆったりとした動作を合わせたもの。1992年に中国吉林省で伝え出されると、1990年代後半には、推定で7000万人から1億人が学んでいた。
その後、1999年に当時の党首・江沢民は法輪功を根絶する残酷な迫害政策を開始した。清心を重んじ健康的に暮らす法輪功学習者は、政治、司法、および軍・警察が組織的に行う強制臓器摘出の主要なターゲットになり、需要に応じて殺害される「強制的なドナー」となった。
欧州要人、議員「人道に対する罪を追及」
EUの幹部や議員は、少数派に対する迫害を批判し、制裁等によって厳に対処するべきだと述べた。
EUの外交政策責任者であるジョセップ・ボレル外相は臓器狩りについて「持続的で深刻な懸念」を示した。「EUは人権について妥協することは決してない」と代読声明のなかで強調した。ボレル氏は2年前にも臓器狩りについて「犯罪的で非人間的、非倫理的な慣行」とし「最も強い言葉で非難する」と述べた。
ドイツ選出のマイケル・ガーラー議員は「法輪功の修煉は誰にも害を及ぼさず、国家に対する脅威にもならない。しかし1999年以降、中国共産党は法輪功を脅威と見なし、迫害を始めた」とし、学習者らが無条件で釈放され、信仰の権利を与えられるべきだと指摘した。
イタリア選出のファビオ・マッシモ・カスタルド議員は、法輪功等に対する迫害は「ジョージ・オーウェルの小説『1984』から直接抜け出てきたかのようだ」と表現した。「この恐ろしい犯罪によって、何万人もの人々が行方不明になっている。この罪に対し、断固として明確かつ曖昧さのない非難のみが選択肢」であるとし、迫害関与者への制裁を科すべきだと訴えた。
チェコ選出のマルケタ・グレゴロバ議員は、EUは20年あまりに渡って続いてきた中共による犯罪を阻止するための行動を取らなかったとし、「私たちは自らの破滅のために資金を提供したり、私たちの価値観を売り渡したりしてはならない」と強調した。
スロバキア選出のミリアム・レックスマン議員は「今こそ、EUは中共に対してより原則的な態度を取る時だ。(人権に基づく)原則的な政策が欠如しているために、私たちは今日、安全の問題に直面している。この問題を解決するための良い出発点として、中国共産党とその党員が犯した人道に対する罪を追及することができる」と述べた。
欧州議会は中国共産党による人権侵害に対して強い姿勢で向き合っている。22年には新疆ウイグル自治区における抑圧を「ジェノサイド(大量虐殺)の深刻なリスク」とする決議を採択。昨年12月にはチベットの強制的な文化の同化を非難する決議をまとめ、今月は著名な香港の実業家ジミー・ライ(黎智英)氏の違法な拘束を非難する決議を可決した。
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