IAEA、処理水放出に関するレビュー・ミッションに係る報告書発表

2024/01/31 更新: 2024/01/31

1月30日、IAEA(国際原子力機関)は2023年10月に海洋放出開始後初めて実施された「東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出に関するレビュー・ミッション」の報告書を公表した。

ALPS処理水の海洋放出に関するIAEAレビューは、IAEAとの間で2021年7月に署名されたALPS処理水取扱いの安全面のレビューに関する付託事項(TOR)に基づき実施されている。

今回公表された報告書においては以下の主要な結論が述べられている。

タスクフォースによるレビューや観察において、関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかった。したがって、IAEAは2023年7月4日の包括報告書で示した安全審査の根幹的な結論を再確認することができる。

東京電力第一原子力発電所における観察に基づき、タスクフォースは、機器及び設備が実施計画及び関連する国際安全基準に合致した方法で設置され、運用されていることを確認した。

タスクフォースは、福島第一原発の全体的な廃炉措置の一環として、ALPS処理水の放出における防護の最適化を今後更に進める必要があるというIAEAの包括報告書の所見を改めて強調した。また、放出が初期段階にあり、この問題で進展を得るにはさらなる時間と運転経験が必要であることを十分に認識した。

ALPS処理水海洋放出の安全性について、信頼性や透明性を確保し、国際社会の一層の理解を醸成していく上で、原子力分野の国際的権威であるIAEAによる独立したレビューは極めて重要である。日本政府は、ALPS処理水に対して国際社会の一層の理解が得られるよう、今後ともしっかりと取り組んでいく。

タスクフォースは特に、放出された放射性核種の海底堆積物への蓄積が観察されるかどうかに関心を示した。

IAEA包括報告書(2023年7月)に記載されているように、関連区域及び通常運転時の職業放射線防護対策の持続可能性のためには、定期的なALPS処理水放出施設の評価が不可欠であり、現在実施されているとおり、継続すべきだと再強調した。

今後の計画について、タスクフォースは、東京電力と原子力規制委員会の活動が関連する国際安全基準に合致しているかどうかを評価するため、引き続きレビューを行う。 

この10月のミッション期間中、タスクフォースは次のステップについて話し合い、日本への定期的なレビューミッションを継続する意向を強調した。次回のレビューミッションは2024年春に実施される予定である。

ALPS処理水とは、ALPS(多核種除去設備・Advanced Liquid Processing System)等により、トリチウム以外の放射性物質について安全に関する規制基準値を確実に下回るまで浄化した水。

東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水は、その後十分に希釈され、トリチウムを含む全ての放射性物質について安全に関する規制基準値を大幅に下回るレベルにした上で、海洋放出されている。

IAEAの報告書(英文)

IAEAプレリリース(英文)

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について書いている。大学では日本語と経営学を専攻。
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