豪州の上院議員やシンクタンクの専門家らは、中国製クレーンが中共(中国共産党)のスパイ活動やサイバー攻撃に使用される可能性を懸念している。米国に倣い、豪州の港湾で使用している中国製の貨物用クレーンを交換するよう政府に求めた。
シドニー、メルボルン、ブリスベン、フリーマントルの港湾に機械設備を供給している中共国営の上海振華重工(ZPMC)製の貨物用クレーンについて米国安全保障局が警鐘を鳴らした。
米国のアン・ノイバーガー国家安全保障副顧問は先週、港湾作業業者に対するサイバー防衛に関する強化策を公開した。また、助成金を含めた中国製クレーンを交換するため200億ドル(約2兆9950億円)を投じる計画を発表した。
米国沿岸警備隊サイバーコマンドのジョン・バン少将によると、米国で使用されているクレーンの80%は中国製だという。
同氏は「設計上、これらのクレーンはリモートで制御、整備、プログラミングされる」と語った。
最近、豪州の港にZPMC製のクレーンが数台設置されたことで、野党のジェームズ・パターソン議員は、「独裁国家が、リスクの高いサプライヤーを使って、我々の港を動かす技術にアクセスすることを許すわけにはいかない」と警告した。
豪州戦略政策研究所のマイケル・ショーブリッジ氏は、これらのクレーンがスパイ活動に加担し、港湾業務を妨害し、あるいは深刻な経済的影響をもたらす「トロイの木馬」だと考えている。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、米国FBIが、ボルティモア港に納入されるZPMC製クレーンを輸送する貨物船から情報収集装置を発見したと報じた。
バン少将によると、当局はその後、米国にある200台以上のクレーンのうち92台について検証を行った。
シューブリッジ氏は、豪州が中国製クレーンを使用することは、米軍が豪州の港湾を使用するのを妨げることになると警告した。
同氏は、豪州政府は中共との関係が再び壊れるのを避けるため、「中国の機器やシステムがもたらす安全保障上のリスクに対処する」ことに消極的だと述べ、バイデン政権に対し、豪州政府と「直接関わる」よう促した。
豪州内務省の広報担当者は、政府が豪州における中国製クレーンの使用状況を分析したかどうか、あるいはバイデン政権の懸念を共有しているかどうかについては明言していない。
同報道官によると、港湾作業業者が使用する技術は「最終的には商業的な決定」であるが、政府は1年前にこうした業者に対してセキュリティ上の助言を行い、サイバーセキュリティ対策を導入するよう奨励した。
これらのサプライヤーは、外国政府から国の利益に反する行動をとるよう圧力を受けている可能性があるため、豪州政府はサプライヤーに関連するリスクを管理する方法を検討している。
ジェームズ・パターソン議員は政府に対し、「バイデン政権に倣い、前政権の重要インフラ改革で認められた権限を使って、港湾作業業者にこうしたリスクを軽減する」よう求めた。
シューブリッジ氏は、「主要港における中国製クレーンの代替を奨励する」という方針は理にかなっていると述べた。
一方、在ワシントン中共大使館の劉鵬宇報道官は、中国製クレーンが国家安全保障上のリスクをもたらすという主張は「純粋に推測にすぎない」と反論した。
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