外交関係者の話によると、北朝鮮は国連制裁に違反し、中国の10以上の都市で北朝鮮人従業員を雇用した50以上のレストランを経営しているという。これらレストランの収益の大半は、北朝鮮政権によって核・ミサイル開発資金に充てていると見られている。
匿名を条件に取材に応じたこの関係者は、レストランの朝鮮語名と中国語名、所在地のリストをボイス・オブ・アメリカ(VOA)韓国語版に提供した。
北朝鮮制裁の履行を監視する国連専門家パネルは、今後数週間以内に公表予定の報告書にこのリストを盛り込む予定だという。
2017年に採択された同決議では、北朝鮮労働者を2019年12月までに帰国させるよう全加盟国に求めている。専門家パネルによる中国国内の北朝鮮レストランのリスト公表は、期限後初めてとなる。
日本や米国は、国連加盟国に対して、北朝鮮への制裁を履行するよう求めている。米国務省報道官は、「国連安保理決議2397号に基づき、一部の例外を除き、全加盟国は自国内で収入を得ている北朝鮮国民を送還する義務がある」とVOAに述べた。
中国共産党の大使館報道官は「具体的な状況は把握していない」とした上で、「中国は常に安保理決議を真摯かつ厳格に履行している。決議は制裁だけでなく対話も重視している」と主張。さらに「制裁のみを選択的に強調し、対話プロセスを無視することに反対する」と付け加えた。
一方、制裁法の制定に携わった弁護士のジョシュア・スタントン氏は「送還期限から5年経っても中国国内での就労を許可している事実は、中国が自ら賛成した安保理制裁に公然と違反していることを示す更なる証拠だ」と指摘。北朝鮮は海外レストランを「強制労働やサイバー犯罪などの違法活動で得た現金洗浄の隠れみのにしている」とも語った。
リストには北京の7店舗、上海の7店舗に加え、北朝鮮と国境を接する遼寧省瀋陽市の17店舗が含まれる。北朝鮮の新義州市に近い丹東市は、レストラン密集地の第2位となっている。
制裁専門家のアーロン・アーノルド氏は、中朝両国がその他の制裁にも違反している可能性を指摘。合弁事業の禁止や、銀行口座開設の制限に触れる行為があれば、それぞれ関連決議違反に当たると述べた。
北朝鮮はかつてベトナムやラオス、カンボジア、タイでもレストランを経営。制裁とコロナ禍で一部は閉店したが、営業を続けている店もあるという。
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