3月23日から、香港で取り締まりを強化する「国家安全条例(香港基本法第23条)が施行された。ポンペオ前国務長官の中国問題顧問・マイルズ・ユー(余茂春)氏は、同法を支持した香港の議員を批判した。
香港についてユー氏は「独裁的な政権に売り渡された」と述べ、中共(中国共産党)は今、世界金融センターだった香港を廃墟に変えようとしていると指摘した。
第23条は異例のスピードで3月19日に可決、23日に施行された。 第23条の成立後、英米の80人近い要人が共同声明に署名し、第23条の立法は香港の自治、法治、権利、基本的自由をさらに破壊する打撃であると非難し、中共の責任を追及するよう国際社会に呼びかけた。
米シンクタンク、ハドソン研究所の中国センター長も勤めるマイルズ・ユー氏は22日、ラジオ・フリー・アジアとのインタビューで、中共は香港の高度な自治、司法の独立、報道の自由を壊しており、こうした国際基準に著しく違反している行為は、中共が信頼に値しないことを示していると述べた。
また第23条を支持する立法委員は香港の自由、民主、自治を独裁的な政権に完全に売り渡したとも批判している。
過去100年あまり、輝かしい歴史を経てきた香港は、中共のいわゆる近代化と発展において極めて重要な役割を果たしてきた。 ユー氏は「中共は、自国の発展に多大な貢献をしてきた香港を廃墟に変えてしまった」と述べている。
2020年香港国家安全維持法の施行以来、香港の状況は悪化の一途をたどっている。
21日、英シンクタンクZ/Yenグループと中国(深セン)総合開発研究院が共に「世界金融センター指数」を発表し、この発表によると、香港は4年連続でシンガポールに抜かれており、今回は4位にランキングした。
長江ホールディングスの李韜国会長でさえ最近、「香港はあらゆる手段を使って国際金融センターとしての地位を維持しなければならない」と発言している。
米国が香港を手放すかどうかについて、ユー氏は「香港を手放すというわけではない。出版、ニュースなどに携わる米国や欧米諸国の企業は、香港では生き残れないからだ。 米国が香港をあきらめるのではなく、香港での中共の統治手法によって、これらの組織、機関が香港から撤退せざるを得なくなっている」と語った。
ユー氏にインタビューしたラジオ・フリー・アジアは、第23条の可決を受け、3月末に香港を離れる準備をしている。
ニコラス・バーンズ駐中国大使は先週、第23条成立前夜に香港を訪れた際、ブルームバーグ・テレビのインタビューに応じ、「我々は第23条の法案に深刻な懸念を抱いている」と述べた。 「人々の懸念は人々の反体制の権利、言論の自由、集会の自由などに関するものであり、(米)国務省はここ数週間、我々の懸念を非常に明確にしてきた」
作家の顔純鉤氏は3月20日に、フェイスブックで中共がこの不当な法律を異例のスピードで推し進めているのは、党のトップである習近平が、今年以降の国内外の状況を非常に悲観していることを物語っていると指摘した。
顔氏によると、第23条の施行は外国の投資家を撤退させ、民間経済も生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされている。国が安定せず、市民も不安に陥っており、中国の人々は努力せず、「寝そべり」と呼ばれる消極的な抵抗をしたり、また移民して中国から逃げ出したり、反抗したりしている。誰もが中共と心を一つにして困難に立ち向かうつもりはない。
各国政府、香港での安全注意を
第23条施行後、豪州と台湾は香港への渡航情報を更新し、警戒を怠らないよう呼びかけている。
英国政府は22日夜、渡航警告を出した。香港政府が香港や中国政府に反対する発言をした人たちを逮捕しており、この人たちを支持したとしても香港の「国家安全法」に違反することになる。香港に行く旅行者は関連するリスクをより認識する必要があるとしている。
豪政府も同日、香港に対する渡航注意喚起を更新した。
国家安全条例は広く解釈される可能性がある。政府も「意図せず法律を破り、起訴されずに最大16日間拘留され、弁護士との面会が48時間に制限される可能性がある」とし、香港への渡航を計画している旅行者に「高度な注意を払う」よう助言している。
台湾の蔡明彥国家安全局長は、台湾人が香港に入国する場合、身の安全に注意を払い、過去にSNSで中国の政治・経済状況を批判したことがないか、スマートフォンに中国を批判するメッセージが残されていないかに特別な注意を払うよう注意喚起した。
蔡氏はまた、国家安全局は台湾人に必要な警告を与え、彼らが香港に入国した後に起こりうるリスクを認識し、不当な非難を受けないようにしなければならないと指摘している。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。