北京のオフィスビル空室率が13年ぶりに20.4%という高水準な数値を記録し、多くの企業が他都市へ移転したり規模縮小するなど、賃貸需要の不足に直面している現実を浮き彫りにしている。
中国経済にとって重要な指標の一つとされるオフィスビルの空室率の上昇は、市場の将来に対する懸念を深めている。
オフィスビル経営の苦境は、中国経済が寒冬期にあることを示唆している。
オフィスビルの価格と賃料、10年前の水準に
想像もしなかったが、厳しい疫病を3年間乗り越えた後も、オフィスビルは復活せず、さらに衰退している。北京、上海、広州、深センの主要都市でも、オフィスビルの状況は心配される。
深センの主要3地区―福田、羅湖、南山の価格は全て下落している。福田区では2023年の成約平均価格が4万2千元(約88万円)で、ピーク時から29%下落。羅湖区は3万1千元(約65万円)で22%、南山は5万元(約105万円)で29%下落しているのである。
北京の中関村や亦庄、かつての繁華街では甲級(高級)オフィスビルの空室率が20%を超えている。望京、金融街、国貿の空室率はさらに高く、30%以上である。
上海でも、オフィスビルの空室率が30%を超える状況である。昨年、上海では2023年の高級オフィスビルの新規供給量が141万平方メートルに達し、過去5年で最高を記録したが、純吸収量は2022年の3分の2以下だった。
中心地の陸家嘴(りっかし)、虹橋開発区、古北では空室率が16%以上である。陸家嘴の高級オフィスビルでは、2015年の購入価格は5万2千元(約109万円)だったが、現在は4万元(約84万円)で、さらに値下げの可能性がある。
上海のサブセンター地域では、空室率が30%以下の物件はほとんどない。北外灘は33.3%、長寿路は32.8%、天目恒豊は35.7%、徐匯濱江は30.6%、四川北路は31.1%、大寧は41.5%、北濱江は69.6%の空室率である。
オフィスビルの空室率が制御不能に
2023年に発表された13都市の高級オフィスビルの空室状況は深刻である。国内でオフィスビルの空室率が20%を超えると、業界では警戒レベルと見なされている。
青島の高級オフィスビルの空室率は48%にも達した。海岸地域や嶗山(ろうざん)区には多くの高級オフィスビルが存在するが、青島は企業にとって吸引力はそれほど高くなく、近年の合肥と比較しても見劣りするため、空室率が非常に高い状態だ。
鄭州、天津、武漢、南京、成都の高級オフィスビルの空室率は約30%である。これらの都市は、過去数年間にわたり高級オフィスビルや新区の建設に力を入れてきたが、現在はオフィスビルの価格と賃貸料が大幅に下落している。
一線都市でもこのような状況であり、二線都市ではオフィスビルの価格の下落がさらに顕著である。
高まる空室の危機にも関わらず 建設ラッシュ
それでも、各地でオフィスビルの建設は続けられている。一線の大都市から普通の二線、さらには三線や四線都市まで、この問題は広く見られる。
例えば深センでは、昨年だけで新たに82.7万平方メートルのオフィスビルが供給され、高級オフィスビルの全市の在庫量は900万平方メートルに達し、過剰な状態だが、2024年にはさらに94.6万平方メートルの供給が予定されている。
広州では今年、高級オフィスビルが10数棟市場に登場し、総面積は100万平方メートルに達し、その60%が琶洲に集中している。これにより、今年末には広州の高級オフィスビルの在庫が800万平方メートルを超える見込みである。
成都では、今後3年で160万平方メートルのオフィスビル供給が予想され、その40%以上が今年集中している。杭州では、今後約100万平方メートルが市場に出る予定で、その約40%が錢江新城に集中している。
蘇州では、今後3年で85万平方メートルの新規供給があり、これは過去3年の約4倍である。南京では、今年だけで57.9万平方メートルの新規供給があり、これは天津が今後3年で予測する総供給量とほぼ同じだ。
膨大な在庫、価格と賃料の大幅な下落、高い空室率は、オフィスビルの困難な状況が中国共産党の経済が再起困難であることを示している。
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