[ジュネーブ 10日 ロイター] – 世界貿易機関(WTO)は10日、今年は世界の財の貿易量が前年比2.6%増加するとの見通しを示した。予想を従来の3.3%から下方修正した。
2023年は、エネルギー価格上昇とインフレの直撃を受けた欧州で輸入需要が落ち込んだことが響き、1.2%減少した。1995年のWTO創設以来、23年以外で世界の貿易量が減少したのは、新型コロナウイルスのパンデミック期の2020年(5%減)と、2009年の世界金融危機(約12%減)の2回だけ。
25年は3.3%の増加を見込んだ。
WTOは、地政学的な緊張、保護主義の高まり、中東危機の悪化で貿易圏が分断されるリスクに警鐘を鳴らした。ただチーフエコノミストのラルフ・オッサ氏は、貿易の分断は見られるが、脱グローバル化を起きておらず、1990年代よりもペースが落ちているとはいえ貿易は成長が続いているとした。
WTOは以前、地政学的な分断が起きた場合、世界の国内総生産(GDP) が5%減少するとの予想を示している。
WTOによると、平時には世界貿易の12%が通過する紅海は、船舶の航行が減ってはいるが停止しておらず、運賃は落ち着いている。
オッサ氏は、状況を注意深く監視する必要があり、中東危機の深刻化による原油価格高騰のリスクは、恐らくスエズ運河を巡る混乱よりも重大だとの見方を示した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。