【緊急寄稿】パンデミック協定と国際保健規則改定の危険性 国際機関は汚職天国だった?

2024/04/13 更新: 2024/04/13

ワクチン強制接種の恐怖

世界保健機関(WHO)がパンデミック協定と国際保健規則の改定を検討している。この改定の目的は、WHOの権限を強化することだ。例えば、新型コロナ(COVID19)のようなウィルスの感染拡大が再び起きた場合、世界各国の国民にワクチンの接種を義務化できるようにしようとしているのだ。

COVID19では、日本を含め世界各国でワクチンの接種が推奨されたが、強制ではなかった。仕事上の理由で接種を求められたケースはあったが、完全な義務化ではなかった。今回の改定の狙いは、これをより義務化に近づけることにあるのではないだろうか。

しかしCOVID19のワクチンには、多くの問題点があった。通常、ワクチンの開発には副作用の検証のために3年かかるが、COVID19の場合は3か月で認可された。

十分な副作用の検証がないまま接種が始まったため、接種後に体調不良を訴える事例が多発した。ワクチンを打って寝込むのでは、ワクチンの意義が問われかねない。

濡れ手に粟の製薬会社

このような問題の多いワクチンを推奨され接種を受けた国民は迷惑だったが、感染拡大を防ぐために耐えたのだろう。一方、製薬会社にとっては思わぬビジネスチャンスとなった。

製薬会社にとって新薬開発は、会社の命運を左右する重要なプロジェクトだ。成功すれば巨額の利益が得られるが、失敗すれば大きな損失となる。成否を分けるのは、副作用の検証である。

新薬を開発し、効果を確認した後、副作用の有無を数年かけて検証する。副作用が見つかれば、開発をやり直す必要がある。そのため、新薬開発には多大な手間とコストがかかる。

最近話題の紅麹なども、検証不足が原因で問題が発生したのだろう。十分な検証なしでは、会社の存続を脅かす結果になりかねない。

しかしCOVID19では、世界各国が検証なしにワクチンを承認したため、製薬会社にとっては想定外の幸運だった。まさに濡れ手に粟だ。

このことに味を占めた製薬会社がWHOに働きかけ、パンデミック協定と国際保健規則の改定を促した可能性は否定できない。

消された「武漢ウイルス」という名称

そもそもCOVID19という名称はWHOによる命名だが、この名称自体に疑問が残る。このウイルスが中国の武漢で発生したのは事実であり、通常は発生地の名称を用いるため、「武漢ウイルス」とするのが自然だったはずだ。しかし、中国がWHOに圧力をかけて、この名称を使わせなかったのではないか。その結果、馴染みにくい「COVID19」という名称になったのだろう。

このことからも、WHOが外部の影響を受けやすく、公正中立な機関とは言い難いことがうかがえる。

しかし、中国はなぜ武漢で発生したという事実を隠そうとしたのだろうか?

このウイルスが世界的に広がり始めたのは2020年2月だが、当初からこれが中国で開発されたウイルス兵器ではないかとの疑惑が公然と語られていた。中国はこれを否定しているが、この論争は未だ決着していない。中国の対応が不可解だからである。

ウイルス兵器の可能性

このウイルスが武漢で広がり始めたのは2019年秋のことである。ネットで感染拡大が伝えられていたが、中国当局はこうした情報を削除し、年末まで事実を隠蔽した。

もしこの段階で、事実を公表し対応していれば、感染は武漢周辺に留まり、世界的なウイルス危機は回避できたかもしれない。

2002年に中国の広東省でSARS(重症急性呼吸器症候群)が発生し、世界的な感染を引き起こした。これもコロナウイルスによるもので、中国政府の対応の遅れが、世界的な蔓延を招いた。

そのため、今後、中国当局が適切に対応できるように、武漢に国立のウイルス研究所が設立されたのだ。

したがって、2019年秋にCOVID19が武漢で発生した初期段階で、中国当局はそれを認識していたはずだ。それにもかかわらず、感染拡大の事実を伝える情報を削除し、実情を発信した医師を処分したのは、不可解と言わざるを得ない。

この中国当局の対応について、一つの説明が成り立つかもしれない。それは、このウイルスがウイルス兵器として武漢の研究所で開発され、未完成の段階で誤って流出したという説明だ。

開発中のウイルス兵器は軍事機密であり、それが誤って流出した場合、機密漏洩になる。独裁国家では、機密漏洩が発生した場合、秘密裏に機密を回収するのが常とう手段だろう。

武漢ウイルスという名称すら消し去ったのは、このウイルスが軍事機密だった可能性を示唆している。

国連は汚職の楽園

中国がこのウイルスの蔓延を認めたのは、翌2020年1月21日のことである。ちなみに日本で感染者が確認されたのが1月16日だった。23日には武漢市が封鎖されたが、この段階でWHOは緊急事態宣言を見送っている。

WHOが緊急事態宣言を出したのは1月30日だが、WHOのテドロス事務局長は、宣言が遅れたのは中国共産党の習近平からの圧力があったためだと認めている。

公正中立であるべきWHOが、なぜこれほど外部の影響を受けるのだろうか?

WHOは国連専門機関だが、こうした国際機関は本来、公正中立でなければならない。そのため、国連およびその関連機関は、所在地の国から独立した法的地位、すなわち治外法権を有している。これは各国の在外公館が治外法権を持つのと同じだ。

ただし、在外公館は本国の主権下にあるのに対し、国連はいずれの国の主権下にもない。そのため事実上、法律が存在せず、内部に法執行機関である警察がいない。

つまり、国連機関の内部は紳士協定で秩序が維持されているに過ぎない。監視組織もなく、汚職がはびこる可能性がある。

こうした状態が放置されているのは、各国や多国籍企業にとって、金で国際ルールを操作できる現状が都合良いからかもしれない。

今回のWHOのパンデミック協定と国際保健規則の改定の背景には、こうした事情があると考える。

(了)

軍事ジャーナリスト。大学卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、11年にわたり情報通信関係の将校として勤務。著作に「領土の常識」(角川新書)、「2023年 台湾封鎖」(宝島社、共著)など。 「鍛冶俊樹の公式ブログ(https://ameblo.jp/karasu0429/)」で情報発信も行う。
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