全世界の軍事費支出が9年連続で増加し、過去最高値を再び更新したことが明らかになった。スウェーデンに本部を置くシンクタンク「ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)」が22日(現地時間)に公開した報告書によると、昨年の全世界の軍事費支出規模は約2兆4400億ドル(約380兆円)に達すると集計された。
これは前年比約6.8%増加したもので、2009年以来の最大の増加率だ。報告書は「2009年以降、初めて米州、アジア・太平洋、ヨーロッパ、中東、アフリカなど5つの地域すべてで軍事費支出が増加したことが分かった」と強調した。
SIPRIのシニア研究員であるナン・ティアン氏は、「全世界の軍事費支出が前例のない水準に増加した」とし、「グローバルな平和と安全保障が最悪の状態に陥っていることを示す証拠」と説明した。
また、「地政学的緊張が高まり、安全保障環境が揺らぐ中、世界各国が競争的に自国の軍事力を強化している」と付け加えた。
報告書によると、昨年の米国の軍事費支出は合計9160億ドル(約141兆円)で、前年より約2.3%増加した。米国は全世界の軍事費支出の37%を占める最大支出国だ。
中国は前年比6%増の2960億ドル(約46兆円)を支出し、米国に次ぐ軍事費支出2位を記録した。
報告書は「中国の軍事費支出は29年連続で増加した」とし、「中国の支出規模が全世界で占める割合は12%に過ぎないが、アジア・オセアニア地域に限定すれば、その割合はなんと50%まで急上昇している」と指摘した。
また、「中国の周辺諸国は、’中国の脅威の増加’により、軍事費支出を増やしているようだ」と分析した。実際、昨年、日本と台湾の軍事費支出はそれぞれ502億ドル(約7兆8324億円)と166億ドル(約2兆5900億円)で、両国とも前年より約11%増加した。
SIPRIのシャオリャン研究員は「中国は自国の軍事力を強化するために莫大な予算を投入している」とし、「日本、台湾など周辺国もこれに影響を受けて軍事費支出を増やしている。このような傾向は今後さらに加速するだろう」と述べた。
報告書は中東地域での緊張及び戦争による影響にも注目した。昨年、中東地域の軍事費支出は前年比9%増の2000億ドルと把握された。この地域で増加率が最も大きい国はイスラエルで、前年より24%増加した275億ドルを軍事費に支出した。
これと関連し、報告書は「イスラエルが昨年10月にハマスの奇襲攻撃を受けた後、これに対応する過程で軍事費支出が急増した」と説明した。
SIPRIの別のシニア研究員であるディエゴ・ロペス・ダ・シルバ氏は、「昨年、中東地域の軍事費支出が大幅に増加したのは、大規模な戦争と外交紛争など、急変する地政学的状況が反映された」と述べた。
一方、ロシアは米国と中国に続き、軍事費支出3位を占めた。昨年、ロシアは前年比24%増加した1090億ドル(約17兆190億円)を支出したことが分かった。同じ期間、ウクライナの軍事費支出は648億ドル約9兆7151億円)で、ロシアの約59%水準だ。
報告書は「これに加え、ウクライナは米国などから少なくとも350億ドル(約5兆5640億円)規模の軍事援助を受けた。これを合わせると、ロシアの支出の約91%に達する」と説明した。
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