米国のフロリダ州民主党は4月26日、2018年以来初めてフロリダ州の28の連邦議会選挙区全てで争うと発表した。
同党の発表は、フロリダ州が過去25年間で共和党色を強めてきたことを受け、バイデン=ハリス・キャンペーンと民主党全国委員会(DNC)において、両党が数週間にわたって2024年にフロリダ州で争うとのメッセージを発信する中で行われた。
バイデン=ハリス・キャンペーン・マネージャーのジュリー・チャベス・ロドリゲス氏は4月2日、選挙期間中の電話会見で記者団に対し、11月に行われる選挙に合わせ、州最高裁が人工妊娠中絶の支持と娯楽用マリファナの使用を問う住民投票を認めた。そのほか同州が、妊娠15週以降の人工妊娠中絶を禁止する現行法を支持し、これにより妊娠6週以降の中絶禁止法の発効に道を開く判決を下したことから、同党は「フロリダ州が勝負どころ」と見ていると述べた。
「30年にわたる共和党の支配はフロリダ州民を失望させた。住宅保険料は高騰し教師不足においても全国をリードしている。フロリダ州共和党はメディケイド(連邦と州が共同で行っている医療プログラムで、低所得の家族、資格を持つ妊婦と子供、補足的保障所得(SSI)を受けている人に医療保険を提供する)の拡大を拒否しているため、100万人以上のフロリダ州民がメディケイドから追い出されている」とフロリダ州民主党のニッキー・フリード委員長は声明で述べた。
フロリダ州には、住民が最も頼りにしている問題や制度のために戦う意思のある民主党議員が必要だと付け加えた。
同党は4月17日、ポーク、マディソン、マイアミ・デイド、セミノールなどの郡でビルボードやデジタル広告を使った「ターゲットを絞った候補者リクルート・キャンペーン」を開始した。
ダニエル・ホーク候補・キャンペーンディレクターは、「すべての議席にフロリダのために戦うと約束する人がいるようにするためだ」意義を強調した。
同党によれば、募集キャンペーンを開始した後、100人以上の下院議員候補者の応募を受けたという。
「どこでも候補者を擁立することで、州の隅々にいる民主党議員に、選挙の日に投票する機会を与える。私がリック・スコット議員やトランプ氏だったら、とても神経質になるだろう。2024年、私たちは民主党議員を選出し、下院を取り戻し、上院の過半数を守る」とフリード氏は付け加えた。
民主党は、フロリダ州で競争に打ち勝つための苦しい戦いに直面している。
1972年のデータ収集開始から2021年までは、毎年民主党が有権者登録数でリードしていた。だが逆転し共和党が90万人近い有権者登録数で優位に立っている。
4月2日のキャンペーンコールで、チャベス・ロドリゲス氏は、民主党には選挙人団270票への道が複数あり、フロリダ州で勝利の可能性もあると説明した。民主党は、バラク・オバマ元大統領が2008年と2012年に同州を制して以来、大統領選挙でフロリダ州を制していない。
世論調査員のマーク・ミッチェル氏がエポックタイムズに語ったところによると、2020年におけるトランプ前大統領のマージンにより、民主党が大統領選挙でフロリダを制するのは難しいと述べた。
トランプ氏は2020年にフロリダ州で3.36%の差をつけて勝利した。これはヒラリー・クリントン前国務長官を破った2016年の差のほぼ2倍になる。
民主党は、人工妊娠中絶の支持と娯楽用マリファナの使用を問う住民投票で支持率増加を期待している。しかし、専門家はこの2つの問題だけで民主党が歴史に残る勝利を収めるには不十分だと指摘する。
Susquehanna Pollingのジム・リー氏は、有権者が上下院別々にスプリット・チケット(違う複数の党の候補に投票)を投じる可能性があると述べた。人工妊娠中絶と娯楽用マリファナを支持しながら、「大統領選、上院選、下院選」では共和党に投票するフロリダ市民がいる、と同氏は説明した。
政治コンサルタントのアロン・ソロモン氏も、人工妊娠中絶の支持と娯楽用マリファナだけで、民主党に優位性を与えるには不十分だと述べた。
「メディアが議論するのはいいことだが、4勝13敗のNFL(アメフト)チームが来年のスーパーボウルで優勝候補になることを議論するようなものだ。可能性はあるが、確率は低いだろう」とソロモン氏は語った。
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