ドナルド・トランプ前米大統領は最近、フロリダ州で米誌『タイム』のインタビューに応じた。
『タイム』が掲載した「もし彼が勝ったら」と題したインタビュー記事の中で、トランプ氏は、「ワシントンに来た当初は知り合いがほとんどいなかったので、他の人に頼らなければならなかった」と大統領就任の当時の様子を振り返った。
記事の中でも、とりわけ目立つのは、11月に迫る米大統領選で勝利した場合、トランプ氏はどのような政策を実施していくのかについてだ。数百万人の不法移民の強制送還や中国製品の関税強化などと述べている。
米史上最大の強制送還
トランプ氏は従来から不法移民を強制送還すると明言してきた。インタビュー記事の中で、「流入してくる犯罪者」から着手し、警察官の権利と敬意を返上し、必要であれば州兵あるいは軍隊を派兵し、「わが国に侵入する」不法移民に対処すると述べている。
不法移民の多くが「刑務所や精神病院出身だ」と指摘し、危機感を示した。
また「過去3週間で2万9千人が中国からやって来た。全員が戦闘任務の執行年齢に達しており、ほとんどが男性だ」と米国に潜在的な脅威が生じていると強調した。
トランプ氏は、移民収容所を建設する可能性は否定していないものの、建設する必要性に疑義を呈している。「我々は彼らを国外に送り出すのであって、国内に留めておくつもりはないのだから」
トランプ氏は、最高裁を非常に尊敬しており、裁判所の命令を遵守していることを改めて強調。「私は非常に合法的な根拠に基づいてすべてを執行するつもりだ」と述べた。
中国製品の関税強化
トランプ氏は、自身が当選すれば中国からの輸入品に再び関税を課すとし、税率は60%を超える可能性があると明言している。
「これまで話してきたことに加え、『相互税』を課すことで、米国を囲む貿易保護の輪を構築する」と述べた。
相互税とは、米国製品に関税を課している諸外国に対抗する形で、外国製品に課す関税のことだ。どの程度まで税率を引き上げるのかは不明。
トランプ氏は、中国からの輸入品以外の派生製品にも関税を課すとし、「中国(中共)の脅威が何であるかを人々に知らせるつもりだ。 中国(中共)は(アメリカから)年間5000〜6000億ドル儲けているが、私が登場するまで誰もそのことを話題にしなかった」と述べた。
「私を最も愛してくれているのは企業、特に鉄鋼業界だ。私が彼らの産業を救ったから、彼らは私を愛してくれている。 彼らは、『あなたが現れるまで誰も助けてくれなかった』と言っている。中国はわが国に大量の鉄鋼を不当廉売している」
議会議事堂事件で起訴された人々を恩赦
トランプ氏は、1月6日に米議会議事堂で起きた事件に関連して起訴された人々の恩赦を検討すると再び明言した。
「ビデオテープを見れば、警察が彼らを連行したのが分かる。 彼らは警察と一緒に歩いたんだ」
「私はとても無実の人間だ。まず第一に、私は平和と愛国心についてスピーチをしたが、誰もそれを報道しなかった。誰も平和と愛国心について語らなかった」
最近米国で世間を騒がせている、学校での激しい反ユダヤ主義デモについても言及し、トランプ氏は「警察が止められないなら、私は間違いなく州兵を使う」と述べた。
中東情勢に言及 イスラエルに苦言も
政策のほか、トランプ氏は中東情勢についても言及している。
トランプ氏は、自身の任期中に戦争は起きなかったと強調。「私の監視下ではテロ攻撃はなかった。我々はイスラムテロを100%排除したが、今ではテロが再発し始めている」と語った。
「私は他のどの大統領よりもイスラエルのために多くのことをしてきた。私はイスラエルを守る」と公言した。
2017年12月6日、トランプ氏はアメリカがエルサレムをイスラエルの首都として承認し、在イスラエル米国大使館をテルアビブからエルサレムへ移転するよう命じたと発表していた。
2019年3月25日、トランプ氏は大統領令に署名し、アメリカはゴラン高原におけるイスラエルの主権を承認した。
2018年、トランプ氏はイラン核合意からの離脱を表明し、対イラン制裁を再開させ、イランに核能力を実質的に制約する新たな合意に署名させようとした。
トランプ氏はイスラエルへの苦言も呈している。イラン革命防衛隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官の殺害について、共同で作戦計画を立案していたイスラエルが実行前日になって不参加に転じたことに言及した。
「イスラエルは実行しなかった。私はそのことに腹を立てた。私の残りの人生でずっと心に残っている」
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