社会 パンデミック条約で各国の医療事情や文化の違いが無視されていいのか

日本を襲うコロナワクチン薬害とがん増加… 「世界一律のワクチン推進」に京大福島教授が異議(下)

2024/05/02 更新: 2024/05/02

「これはもう科学ではなくてカルト」

福島氏は、新型コロナワクチンの接種が始まってから間もない2021年の10月には論文の中で「全例登録」を提案していた。当時すでに、ワクチン接種を進めることで将来的に自己免疫疾患や神経変性疾患、がんに関する問題が発生することを予見していたからだ。

「ですけど、ワクチンについて反対するとまるで異教徒扱いになるわけですよ。これはもう科学ではなくて邪教、あるいはカルトと言ってもいいと私は思います。これは人類の恥です。常に過去の概念と知識を破壊するのがサイエンスであり、妥協したら終わりなんですよ」

「今は医学・医療の危機のみならず、重大な科学の危機、民主主義の危機です。非常に危機感を募らせています。科学者としても医者としても、このワクチンは断じて国家レベルでやるべきものではなかったし、承認されて市場に出るべきものではなかったと私は断定します」

新型コロナワクチン接種が進められて以来、医師らは「パンドラの箱を開けたように」自己免疫疾患や神経変性疾患、がん、感染症、さらに希少な難病などに遭遇しているという。この現状を「サイエンスコミュニティの崩壊であり大敗です」と厳しく指摘しながらも、「今までの病気についてもっと一元的に理解するチャンス」でもあると福島氏は語る。

「生活習慣病から希少の難病まで含めて、病気のメカニズムについて今まで以上にたくさん知ることができるようになったんですよ。あらゆる論文をレビューし直して、サイエンスを新たに再構築する良い機会だと思います」

最近では、免疫を調整する最重要因子であるビタミンDや亜鉛の不足が、感染やがんに関係していることも分かってきているという。

「いずれにしても、世界で初めて人類に大規模に使った遺伝子ワクチンについて、WHOは包括的なアウトカムリサーチを指揮するべきで、各国はそれに協力するべきですよ」

パンデミック条約と国際規則に大幅修正、高まる反発の声受けてか

パンデミック条約および国際保健規則(IHR)改訂の採択が今月末のWHO総会に迫るなか、WHO側は強権的な体制構築に向けた動きを軟化させている。

2024年4月26日、スイス・ジュネーブの本部で行われた第8回IHR作業部会の閉会プレナリーの様子(WHOのウェブキャストからスクリーンショット)

先月22日に発表されたパンデミック条約の最新草案からは、言論統制に利用されかねない「偽情報対策」条項が削除された。この件を指摘した弁護士の楊井人文氏は「政府間交渉の詳細は不明ですが、どこかの加盟国が危惧を表明し、削除を求めたのでしょう」とX上に投稿している。

また、17日に発表された国際保健規則の最新草案にも、大幅な修正が見られた。加盟国にWHOの指示に従うことを義務付ける条項が削除され、消去されようとしていた人権や基本的自由に関する文言が元に戻され、検閲や情報統制に関する提案が取り下げられるなど、批判の声を受け止めたかのように見える。

肛門科専門医の佐々木みのり氏は24日付のブログで、「私たちが1年以上に亘って懸念を訴えてきたことが全部認められました。これは大きな変化であり、勝利だと思います。声をあげて訴え続けてきて本当に良かったと思いました」と語った。

肛門科女医の草分け的存在である佐々木氏は、パンデミック条約およびIHR改訂に警鐘を鳴らす医師や科学者、人権擁護活動家などからなる団体「ワールドカウンシルフォーヘルス(WCH)」の日本支部の運営にも携わっている。

「今後また変更される可能性もあり、最後まで油断できない」とした上で、「WHO総会は来月5月27日から始まります。注視していきましょう」と呼びかけた。

文化を守ること=健康を守ること

先月13日、東京・池袋でパンデミック条約およびIHRの改定に反対するデモ集会が開かれ、事前の予想を大きく上回る1万9千人以上が集まった。大手メディアが沈黙するなか、国内外の独立系メディアが集会の様子を拡散したことで、日本国内でWHOの権限強化に対する懸念やWHO脱退を求める声、また国内の公衆衛生対策に対する疑念が高まっていることが明らかになった。

2024年4月13日、東京・池袋で行われたパンデミック条約・国際保健規則反対デモにて、エポックタイムズ の取材に応じるカイロプラクターの中川有二さん(白露/大紀元)

この日、デモ会場の東池袋中央公園でカイロプラクターの中川有二さんがエポックタイムズの取材に応じた。「健康管理を国に預けるのではなく、自分の手に取り戻すということを広げたい。その活動の一環として今ここにいます。自分の自由とみんなの自由を守りたいというのが一番の思いです」

「文化というのはその土地の気候や自然環境、固有の食べ物によって作られ、何千年何万年と受け継がれてきたものだし、体もそうやってできています。受け継いできたものを守って生きていくというのが健康を守ることでもあるのです」と中川さんは語った。「国際社会が一致して感染症対策を講じるべき」という政府や国際機関の主張とは反対の立場だ。

大切なのは周囲と暖かい関係を築いていくことだという。「どうしても力やお金があるところの言いなりになってしまい、真実は表に出てこないのは大きな問題だと思います。大きなマスコミで情報を流すということよりも、近いところからみんなに呼びかけていくことを大事にしたいと思います」

大紀元報道記者。東京を拠点に活動。
関連特集: 社会