米大学に広がる親パレスチナデモに「外部の扇動者」 大学や当局が非難

2024/05/05 更新: 2024/05/05

アメリカ国内の多くの大学キャンパスで、パレスチナ支持のデモ参加者らと、警察との対立が起きている。大学関係者や警察側は「外部扇動者」の存在を指摘している。

5月1日には、マンハッタンからウィスコンシン州のマディソン、ダラスからデンバーに至るまでの大学キャンパスで、少なくとも300人が逮捕された。逮捕されたほとんどの人々は、公共の場所を不法占拠していた集団を警察が排除しようとする際に、大抵は非暴力的に抵抗していたとされている。

パレスチナ支持団体はガザ戦争を終わらせ、イスラエルからの投資撤退を求めており、30州以上にまたがる50以上の大学やカレッジがこれに巻き込まれている。これは、1980年代の反アパルトヘイト運動や60年代、70年代のベトナム戦争抗議活動以来、最大規模のキャンパス騒乱の渦となっている。

4月18日にニューヨークのマンハッタンにあるモーニングサイド・キャンパスでコロンビア大学の学生108人が逮捕されて以来、5月1日時点で、少なくとも22州にわたる20数か所の大学やカレッジで2千人近くが逮捕された。

30日には、警察はコロンビア大学のハミルトン・ホールから占拠者を追い出し、109人を拘束、ハーレムにあるニューヨーク市立大学の管理棟からも占拠者を追い出し、173人を拘束した。

5月2日未明、フォーダム大学マンハッタンキャンパスの職員は、ローエンスタイン・センターの被害状況を調査した。前夜、抗議者らはガラス扉を破壊し、壁にグラフィティを描き、テントを設置したが、少なくとも15人が逮捕された。

5月1日、テュレーン大学のキャンパスの警察が抗議者を排除した際、少なくとも14人を逮捕した。ダラスでは、テキサス大学で野営を試みた17人が逮捕された。

逮捕前に、テキサス大学ダラス校は声明で「個人は、キャンパスの屋外共用エリアで平和的に集会し、言論の自由を行使することができるが、野営を行ったり、通路を塞いだりしてはいけない」と述べた。

ほとんどのキャンパスでの抗議活動は平和的だが、アリゾナ大学で4人を逮捕する際、ウィスコンシン大学マディソン校で少なくとも34人を拘束する際に、警察は催涙スプレーやゴム弾を使用した。

「扇動者」が抗議活動に潜入

5月1日の声明で、ウィスコンシン大学の職員は「キャンパスコミュニティ外の個人」の行動について調査していると表明した。

また5月1日には、ニューハンプシャー州のダートマス大学で、大学当局が野営について抗議者に警告した後、少なくとも90人が不法侵入と逮捕への抵抗で逮捕された。

その後の声明で、ダートマス大学は言論の自由は守るが、キャンパスが「外部の扇動者を含む少数の抗議者グループに取り込まれる」ことは許さないと述べた。

ダートマス大学関係者は、パレスチナ人を支援する学生らが2023年10月以来少なくとも7回、キャンパス内で平和的にデモを行っているが、4月18日以降の反対運動の波に参加している人の多くは学生ではないと指摘した。

ウィスコンシン州とニューハンプシャー州の大学や警察当局は「外部扇動者」の存在を指摘している。ニューヨーク市のアダムス市長も4月30日の記者会見で「外部扇動者」に言及している。同氏は、「プロの抗議者」が、学生ではないデモ参加者の多くを率いてキャンパス内に侵入し、組織化された戦術で大学関係者や警察と対峙していると指摘した。

コロンビア大学は4月30日の声明で、キャンパス内やハミルトン・ホールで抗議活動を行った数百人のうち、在籍学生数は「数十人」しかいなかったと主張した。

アダムズ氏は、ニューヨークでの抗議活動は「外部のプロの扇動家たちによって共謀されている」と述べた。5月1日にもこの主張を繰り返し、ハミルトン・ホールの占拠は「大学とは無関係の個人によって主導された」と主張した。

ニューヨーク市警のレベッカ・ワイナー副警視総監は5月1日、記者団に対し、「プロの扇動者」の存在は依然として「高度の懸念」だと語った。

5月1日未明、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で起きた暴力的な小競り合いでも、「扇動者」の存在が問われている。組織化された反対デモの集団がキャンパスに押し寄せ、「パレスチナ連帯の野営地」を攻撃したのだ。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のジーン・ブロック総長は、反対デモ隊は学内の学生グループとは関係のない「扇動者」に率いられていたと述べた。カレン・バス・ロサンゼルス市長は、「野営地への『絶対に忌まわしい』襲撃の背後に誰がいるのか「徹底的に調査する」と約束した。

5月1日、警察から拡声器で「立ち退かなければ不法集会で逮捕する」と伝えたにもかかわらず、5月2日の早朝、数百人の抗議者が依然としてUCLAのキャンパス内に残っていた。多くがガスマスクとゴーグルを装着し、シュプレヒコールを上げながら、合板で囲まれた広場の野営地にとどまっていた。

UCLAキャンパスの他の場所ではさらに多くの抗議者が集まり、夜明けとともに小競り合いと逮捕が報告されている。

米国の大学関係者にとって、デモ参加者と反対デモ参加者の衝突に対する懸念が高まっている。衝突は報告されていなかったが、複数の機関の警察がUCLAの野営地に突入し、占拠を終わらせる用意ができているようだ。

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