カリフォルニア州最高裁判所で係争中のフローレス事件では、フローレス被告は午後10時に犯罪多発地域で一人でいるのを警察が発見したとき、駐車中の車の後ろに身を潜めた。
州最高裁は7対0で、警察や保安官代理が路上で人との接触を避けようとしているからといって、その人を拘束することはできないという判決を下した。
先週、州最高裁は、人が自分を隠しているように見えたり、または神経質に振る舞っているという事実だけでは、警察官がその人を拘束する理由にはならないと書いた。全会一致の判決の中で、キャロル・コーリガン判事はこれらの行動は「関連した文脈」となりうるが、それでも「犯罪行為に対する合理的な疑念」が必要だと書いた。
コーリガン判事は意見で、法執行機関の職員は「視界に入るものを考慮でき、公衆の面前で人に近づき、合意の上で会話を交わし、外見や行動を注意できる」と付け加えた。しかし、「個人は憲法によって保護され、自由に行動する権利がある」との理由から、逮捕には確たる根拠が必要だと書いている。
これは、マーロン・フローレスが2019年にロサンゼルス警察に逮捕された事件に対する判決だ。裁判所資料によれば、フローレスはギャングがいるとされる地域の通りで立っていた。警察官が車を運転してくるのを見てから、駐車中の車の後ろに身を秘めた。
コーリガン判事は意見書の中で、「事実を公平に解釈すると、フローレスは最初、警官に見つからないようにした。その後、やや一貫性に欠けるが、彼は立ち上がり、数秒間視界に入った。その後、彼は警官の接近を認めず、警官との接触を避けようとした」と付け加えた。
しかし、同氏は「フローレスが夜間に犯罪率の高い地域にいたという事実だけでは……。彼が何か違法行為をしていると特定して疑う客観的な根拠にはならない。警察とのやり取りを拒否することは、法的に認められている」と記した。
賛成意見書で、判事はこのように書いた。「マーロン・フローレス被告の拘留が違法だったという本日の意見に同意する。フローレスが、かがんで手を靴の近くに置き、警察官の存在を無視したことで、彼は自分の事をしているか、あるいは警察との接触を避けようとしているかを示していた。これらの行動は彼の権利の範囲内にある」
裁判記録によれば、フローレスは州の法律に違反して、装填(銃砲に弾薬を詰め込む)済みで登録されていない拳銃を持っていたとして、最終的に有罪となった。カリフォルニア州の控訴裁判所は、2021年に彼の有罪を支持する判決を下した。
一審の裁判所は、フローレスが車の陰に隠れるようにしゃがみ込んだこと、そして「警察が接近すると、手を隠し続けた」と述べている。判決書によると、警官の証言には、フローレスが「警察から隠れようとして」「靴紐を結ぶふり」するという「怪しい動き」をした。
裁判所は、警察を見た直後や、すでに一度しゃがんだ後に、暗がりでその行動をするのが不自然なタイミングである場合、またその行動に通常より長い時間を費やした場合、警官は「正当な疑い」を持つと判断した。裁判では、フローレスが不審なほど長い時間しゃがみ込んでいたため、警察官が逮捕に踏み切ったと判断した。
カリフォルニア最高裁の裁定が上訴されるかはまだ不明だ。
1968年テリー対オハイオ州事件で、アメリカ最高裁は警察の合理的嫌疑に基づく捜検 (pat down)を認める判決を下した。これにより、警察が犯罪行為に関与しているという合理的な疑いに基づいて人物を一時的に拘留できる「テリーストップ」の概念を確立した。
カリフォルニア州控訴裁判所の判決は、検察はフローレスが違法な麻薬行為に関与していたかどうかを判断できなかったとしながらも、裁判長が「事実関係を総合すれば、このテリー・ストップを正当化することは正しい」と指摘した。
裁判所は「他の要素と合わせて考えると、神経質で回避的な行動は、疑惑が妥当かどうかを判断する上で適切な要素である。そのため、警察官にはこの曖昧さを解消するためにさらに調査する十分な根拠があった」と判断した。
フローレス被告の拘留が違法だという州最高裁の判決を受け、複数の警察関連団体や組合が声明を発表し、この判決が犯罪の増加に繋がるとの懸念を表明した。
エポックタイムズは、ロサンゼルス市警の組合であるロサンゼルス警察保護連盟にコメントを求めたが、取材時までにコメントは得られなかった。
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