ソーシャルメディアアプリのTikTokは、ジョー・バイデン大統領が4月24日に署名した法律により、270日以内(つまり2025年1月19日まで)に中国の親会社であるByteDanceから切り離され、米国企業によって買収・所有されなければならない。
5月7日(火)、TikTokとその中国の親会社は、この法律は「違憲」であり、米国市民の言論の自由を侵害しているとして、米国政府を正式に提訴した。
この訴訟が長期化することが予想される中、新たな報告書により、米国の年金基金、大学基金、その他の機関投資家が、TikTokの中国の親会社であるByteDanceに関連する可能性のあるファンドに90億ドル(約1兆4008億円)以上を投資していることが明らかになった。
ワシントンの超党派擁護団体であるフューチャー・ユニオン(Future Union)の報告書は、米国とその同盟国が「新たなテクノロジーと安全保障の課題の波」に対処するのを支援することを目的としている。
フューチャー・ユニオンが水曜日に発表した報告書によると、1億7千万人の米国ユーザーを抱える短編動画プラットフォームと連邦政府との間で、国家安全保障と市民のプライバシーの問題をめぐる訴訟により、90億ドル以上がリスクにさらされる可能性があり、「訴訟の結果に結びつく」という。
年金投資
報告書は、公開されているデータに基づき、2012~24年の間に、米国最大の公的年金39社がバイトダンスのファンドに投資していることを明らかにした。 不透明な情報開示のため、報告書の数字は実際の数字より少ない可能性が高いとしている。
この報告書によると、ワシントン州投資委員会とニューヨーク州共通退職基金の2つの公的年金制度は、それぞれ14億ドル(約2181億4240万円)を投資している。 カリフォルニア州公務員退職年金基金もソーシャルメディア企業に10億ドル以上を投資。
共通退職年金基金(the Common Retirement Fund)を管理するニューヨーク州会計検査院は、フューチャー連合が以前の報告書で保有資産を誤ったと説明し、限定的なベンチャーキャピタルファンド投資ではByteDance関連のエクスポージャーはないと述べた。
ニューヨーク州教職員退職年金制度(the New York State Teachers Retirement System)の広報担当者によると、ByteDance社への投資は2023年末までの総額で4760万ドル(約74億6255万円)であり、アライアンス・フォー・ザ・フューチャーの報告書に記載されている5億7900万ドル(約901億7172万円)ではないという。
大学寄付基金
米国の大学基金もバイトダンスと関連していると報じられており、テキサス州立校の公的基金は約3億4千万ドル(約529億5262万円)を中国企業に関連するファンドに投資していることが判明した。
ミシガン大学、カリフォルニア大学システム、プリンストン大学などの他の主要な基金も、バイトダンスに関わるファンドに多額の投資を行っている。
これらの投資は、KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ・アンド・カンパニー、米国の世界的投資会社)やカーライル・グループなどの大手プライベート・エクイティやベンチャー・キャピタルによって促進された。
フューチャー・ユニオンによると、KKRはバイトダンスへの投資を含め、24の公的年金、4つの大学基金、7つの非営利組織または財団のポートフォリオを管理している。 またケレット・グループは、12件の公的年金と2件の非営利組織または財団のポートフォリオを管理している。
機関投資家
同報告書はまた、大手機関投資家のエクスポージャーが、「そのような投資において、長い間考慮されていなかったが、地政学的リスクが持続している可能性の再評価」を促しているとも述べている。
報告書の著者であるアンドリュー・キング氏は、今回の調査結果は中国企業の米国での資金調達が深く根付いていることを示していると述べた。 また、機関投資家は中国企業への投資をやめるべきだと付け加えた。
同氏は、「中国の新興企業への投資は、米国、米国の新興企業、米国の革新的企業の利益に真っ向から対立する」と述べた。
新規株式公開やM&A(合併と買収)などのこうした投資は、「出口の機会が著しく減少する」。 報告書によれば、近年、中国企業はこうした取引を確保する機会が減少しており、その結果、ファンドが投資に対するタイムリーなリターンを得られなかったり、他の目的に使用できなかったりする可能性があるという。
フューチャー・ユニオンは1月にも、中国や香港のファンドに投資しているアメリカの機関投資家についてまとめた報告書を発表したのだが、そのなかにはアメリカ政府が非合法化しようとしている機密技術に投資しているものもあった。
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