中共(中国共産党)の公安部政治保衛局の元秘密警察「エリック」が豪州へ亡命後、中共が海外で反体制派を追い詰める秘密作戦について、大量の証拠を提供した。
著名漫画家である「変態辣椒」、本名王立銘氏も「エリック」のターゲットの一人だった。王氏は独占インタビューで、自身がいかに誘拐されかけたかを、詳細に語った。
豪州放送協会の番組「フォーコーナーズ」で、元中共秘密警察「エリック」は、日本に亡命していた時期の漫画家「変態辣椒」(Rebel Pepper)こと王立銘氏を中国に連れ戻す計画に関わっていたことを認めたが、その計画は失敗に終わったと述べた。
王立銘氏は、次のように述べている。
「2016年の年末に、秘密警察の「エリック」がTwitterで私に直接メッセージを送り、私の漫画を気に入っていると伝えてきた。彼は民主運動に共鳴するかのように接近してきた。私は彼のTwitterプロフィールを見て、彼がそのような人物であると信じ込んでしまった。彼はわざわざ共産党に対して少し反感を抱くキャラクターを演じていた」
「エリック」は当時、楊さんと名乗り、太子不動産集団で計画主任を務めていたと自称していた。その後すぐに、彼は王立銘氏に対して、カンボジアで太子集団の「グローバルクリエイティブディレクター」の職に応募するよう勧めた。しかし、これは実は罠で、もし王さんがカンボジアに行ってしまったら、中国に拉致されてしまう可能性があった。
王立銘氏はさらに、「彼は次に進める予定の不動産プロジェクトについて、企画案があると私に伝えた。彼は私の弱点を突き、プロジェクトには十分な資金があるため、私が参加を決めれば、優先的に仕事を任せると言ってきた。しかし後になって明らかになったのは、彼は上司の指示なしには何もできず、完全にその指示に従っていたということだった」
王立銘氏によれば、「エリック」は計画を現実的に見せるために、リベートを提案したとのことだ。これは、状況をよりリアルに演出するためだったという。
さらに王立銘氏は、「エリックは、私に話を持ちかける前に、上司と何度も詳細に打ち合わせを重ね、計画が疑われないよう細心の注意を払っていた。彼らの目論見は、私が疑いを持たずに、徐々に罠にかかるようにすることだった」と述べた。
王立銘氏が「エリック」の誘いに乗ろうかと思い始めたとき、彼の妻がタイミングよく反対意見を言った。彼女はカンボジアが、中共と密接な関係にあることから、信用していなかったのだ。
一つの策略が失敗に終わると、新しい策略が立てられた。「エリック」は上司と協力して計画を見直し、王立銘氏に新たな計画を提案した。
王立銘氏は次のように語る。
「彼らは、私を台湾を訪問させるプランBを持っていた。つまり、私が台湾に行くと決めた場合、彼らは台湾の太子集団の子会社を通じて私を誘拐し、公海に連れ出して、中国政府の秘密警察に引き渡すことに自信を持っていた。この計画を後で知ったとき、私は非常に驚いた」と話している。
幸いなことに、この計画も王立銘氏の妻の強い反対に遭い、実行される前に阻止された。
亡命する前、王立銘氏は中国のSNSで「変態辣椒」として知られる政治風刺の漫画家であり、彼の作品は権力を風刺し、共産党の支配に対する社会の不満を描いていた。しかし2014年、彼のインターネット上での活動は共産党によって完全に遮断された。
ユーモアを使って現実を風刺し、権力者の心を変えることを望んでいた王立銘氏だが、度重なる警察の「喫茶の招待」(警察による事情聴取の隠語)、オンラインでのブロック、さらには誘拐未遂に至る体験を経て、彼は絶望し、共産党体制に対する幻想を捨てた。
王立銘氏はこう述べている。
「共産党に幻想を抱いている人は、その歴史をもっと深く学ぶべきだ。共産党は創設期から、自分たちの仲間であっても、裏切り者や修正主義者と見なされたら、容赦なく弾圧し排除しようとしてきた。仲間に対してさえ冷酷なのだから、党員でない人々に対してはなおさらだ。これは歴史が証明する変わらない事実だ」
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