ファーウェイは中国当局がコントロールする、公認の「愛国ハイテク企業」である。スマホから車、ファーウェイブランドであればどんな製品も「愛国」のレッテルが貼られ、質疑は許されない。
先月13日、ファーウェイEVが「自動駐車モード」中にトラックと衝突したことがわかった。しかし、事故を起こしたファーウェイEV車の安全性に対する疑問を提起した車の持ち主の中国SNSアカウントが封殺に遭った。
中国のネットから封殺された同車主による投稿動画(ドライブレコーダー映像など)のなかには、「自動駐車モードに入った」という車のシステムが発する声がした後、目の前にある大きなトラックに向かって突き進む様子が記録されていた。
車の持ち主によると、この車は事故の5か月前に購入したファーウェイ電気自動車(EV)の「問界(AITO)M7」の新車だ。
「『自動駐車モード』に入ったと思ったら、直接『自動衝突モード』」になった」と皮肉る車主は、「前方にトラックが止まっていたのに、何の警報提示もなかった、衝突した後にようやく警報音が鳴ったんだ」と訴える。
事故の後、車主はすぐにメーカーに連絡した。すると、カスタマーサービスから「駐車補助センサーは特殊な障害物を識別することができないため、トラックが近くにあるときは、自動駐車モードを使用できない」という答えが返ってきたという。
そのため、今回の事故の責任は全て「操作した者にある」ということになった。
「あんなデカいトラック、それも停まっているものを認識できないというのか、それならどうやって人間を認識するというのか」と怒り心頭に発した車の持ち主は、「M7には本当にがっかりした。みんなもこんなゴミみたいな駐車モードを使わないほうがいいよ」と注意を促した。
この内容の動画は、中国版TikTokの抖音(ドウイン)に投稿された後、動画は削除され、アカウントまでも封殺に遭った。
相次いで指摘されるファーウェイ製品の品質問題や「口封じ」の教訓として、「今後EVを買うならやはりテスラを買うべきだ。何か問題が起きれば、国を挙げて大々的に報じてくれる。しかし、国産メーカーだとSNSに投稿することすらできず、泣き寝入りするしかない」という声も上がっている。
(2024年5月13日、駐車場内で起きたファーウェイEV「AITO M7」によるトラックとの衝突事故)
「はるかにリードする」口封じ
「遙遙領先(後続者よりはるかにリードする)」はネット上で「ファーウェイ」に対する呼び方(時には皮肉を込めて)の1つになっている。
この言葉はファーウェイの創業者・任正非氏がインタビューを受ける際の発言「ファーウェイは5Gにおいて他の国をはるかにリードしている」からきている。
先月、ファーウェイEVによる事故を捉えた動画をシェアしたネットユーザーのSNSアカウントが削除される「事件」が起きたばかりだった。
先月の事故以来、いまでは「口封じにおいて」、ファーウェイは「はるかにリードする」とネット上でやゆされるようになった。
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