ウクライナのゼレンスキー大統領は第21回IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で演説し、中国共産党及びロシアがウクライナ戦争に関する平和サミットの参加を妨害していると強く非難した。
6月2日、シンガポールで開催されたシャングリラ会合でウクライナのゼレンスキー大統領は、中国共産党が他国や首脳たちに圧力をかけ、スイスで開催されるウクライナ戦争に関する平和サミットへの参加を控えるよう促していると非難した。また、ロシアも同様の圧力を行っていると述べた。
ゼレンスキー大統領は、中国共産党がどの国に圧力をかけたかについては具体的に言及しなかった。
アメリカのメディア「ポリティコ」によると、ゼレンスキー大統領はシャングリラ会合でのスピーチと、それに続く記者会見で「ロシアは中国の地域的な影響力や外交官を利用して、平和サミットの妨害を試みている」と指摘する。
6月15日と16日にスイスで開催されるウクライナ平和サミットに、ロシアが招待されていないため、中国共産党は参加を辞退した。
ゼレンスキー大統領によれば、106か国以上がサミットに代表を派遣する予定である。しかし、クレムリンとその一部の同盟国、特に中国共産党は、他国にサミットへの参加を控えるよう圧力をかけている。
ゼレンスキー大統領は、ロシアが農産物と化学製品の輸出を停止し、エネルギー価格を上げることで、各国にサミットへの参加を控えるよう圧力を加えていると非難する。また、ロシアの行動を支持する国があることも指摘した。
ゼレンスキー大統領の中国共産党批判の背景
中国共産党がロシアから他国への圧力に協力していることについて、ゼレンスキー大統領は「これはロシアだけでなく、実質的には戦争への支持だ」と強調する。
ウクライナの大統領が中国共産党を公然と批判するのは珍しいことである。ゼレンスキー大統領はこれまで中国共産党に対して慎重な姿勢を保ち、中国共産党がロシアの支援を控えることを望んでいた。
中国共産党は、スイスで開催予定のウクライナ和平サミットには代表を送らない方針を示しつつ、独自に和平サミットを開催し、ロシアとウクライナの代表を招待する意向を示した。
記者会見で、中国共産党が提案する和平サミットへの参加について問われた際、ゼレンスキー大統領は中国にはそのような会議を主催する資格がないと断言した。
「ウクライナはこの戦争の犠牲者です。主導権は私たちにありますが、この戦争が私たちの国に与えた影響は完全には理解されていないでしょう」と彼は述べ、「ウクライナの人々が命を落とし、女性がロシア兵に暴行され、数万の子供たちが拉致されたという事実があります。戦争を終わらせる方法を決定する権利は誰にも委ねられません」と強調する。
さらに、ゼレンスキー大統領は、中国共産党がウクライナの政府関係者との対話を拒否していることを厳しく批判し
「私たちは何度も中国の代表、特に習近平との会談を要請しましたが、残念ながらウクライナと中国の間にはしっかりとした対話ルートが構築されておらず、それは中国側が望んでいないためです」と述べた。大統領はシャングリラ会合の間、中国共産党の官僚との会合は一度もなかったと明かす。
北京はロシアとウクライナの紛争において中立を宣言しているが、西側諸国がロシアに対する制裁を強化する中、中国はロシアとの貿易を拡大し経済支援を提供している。アメリカ、ウクライナ、その他の情報機関は、ロシアの武器に中国製の部品が使われていると証拠を示している。
中国の国防部長はシャングリラ会合で、どの国にも武器を供給しておらず、軍民両用製品の輸出には厳しい規制をしていると述べた。
アメリカ国務省のカート・キャンベル副長官は中共のこうした動きに対し、ヨーロッパ訪問中「中国の主な目的はロシアを支援すること」だと言い、米国はこうした行為を「包括的な支援」と見ていると述べた。
また「中国のロシア支援が一時的なものではなく、違法な企業の一部だけが関与しているわけではない」と強調し、この活動が「継続的で全面的なもので、中国の最高指導部の承認を得ているもの」と語った。その目的は、ロシアが長距離ミサイル、ドローン、戦場の状況を把握する能力、長距離砲などの軍事力を秘密裏に再整備する支援だとし、基本的にそれら努力が非公開で進められていると述べている。
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