ゼレンスキー氏、突然フィリピン訪問、中共を非難 

2024/06/06 更新: 2024/06/06

ウクライナのゼレンスキー大統領は、6月2日にシンガポールで行われたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)にて、中共(中国共産党)がロシアと共謀し、スイスで開催予定の平和サミットを妨害していると非難した。

その直後、彼は予告せずにフィリピンを訪れ、マルコス大統領と会談を行った。ゼレンスキー氏のこの行動と発言から、どのような意図が読み解けるのか? ここでは専門家の見解を紹介する。

シャングリラ・ダイアローグでの演説を終えたゼレンスキー大統領は、予告なくフィリピンへと向かった。6月3日には、フィリピンの大統領から熱烈な歓迎を受け、その日のうちに双方の首脳は会談を行った。

国際問題に精通した編集者である唐浩氏は「ゼレンスキー大統領がフィリピンを訪問した理由は、南シナ海における中共の領土侵害に直面しているフィリピンが、ウクライナと似た困難な状況にあるためだ。さらに、この訪問は、中共とロシアが他国の土地を狙う野望を共有し、国際的な影響力を拡大しようとする共犯者であることを、世界に対して間接的に警告しているとも解釈できる」と語る。

今月中旬にスイスでウクライナ主催の平和サミットが開かれる予定であり、100か国以上が代表を派遣する見込みだ。米国は6月3日に副大統領ハリス氏が出席することを公表した。

情報筋によると、中共はこのサミットに参加しない方針だ。

フィリピン訪問に先立ち、ゼレンスキー大統領は、6月2日のシャングリラ会合での演説で、中共がロシアを支援し、他国の首脳に圧力をかけてサミットへの参加を阻んでいると、公に批判した。また、中共のロシア支援が、戦争を長期化させるだろうと警告した。

ロシアとウクライナの戦争が2年以上続いている中、ゼレンスキー大統領が、中共を公然と批判したのは非常に珍しいケースだ。

唐浩氏は「中共は実際には、ウクライナの平和を望んでいないというのが真実だ。なぜなら、ロシアとの戦争が、アメリカとNATOの軍事力を分散させ、中共にとって台湾海峡や南シナ海での行動を行いやすくしているからだ。さらに、中共はロシアを利用して、自国に対する国際的な圧力や制裁を、弱めようとしている」と述べている。

中国問題に詳しい王赫氏は「中共は、表面上はロシアに対して中立を装っているが、実際には、ロシアを積極的に支援しており、特に軍事と民間の両方で使用できる製品を通じて、ロシアの軍事力を後押ししている。その結果、ロシアはウクライナでの戦争を、持続させることができている。中共のこのような支援が、戦争において重要な役割を果たしている。このような状況の中で、ゼレンスキー大統領は、アジアでの外交活動を活発化させ、シンガポールやフィリピンを訪問している」と指摘している。

これに対して、中共外交部の毛寧報道官は、今週の記者会見で、中共が他国に圧力をかけているというゼレンスキー大統領の指摘を否定した。

唐浩氏はこのように指摘している。「中共の外交官たちが目を見張って嘘をつくのは、彼らにとっては定番の戦術だ。過去4年にわたり、世界中で見られた中共の支配欲と独裁的な政治手法は、今や公然の秘密となっている。これが原因で、中共は現在、国際社会から孤立するという難しい立場に立たされている。中共外交部の巧みな言葉遣いも、今やただの国民を惑わすための宣伝に過ぎない」

分析家たちは、中共がウクライナの平和会議の妨害を試み、不穏な同盟を強化しようとしているが、これらの動きは結局失敗に終わるだろうと予測している。

関連特集: 国際