経済が悪化の一途をたどり、失業率が高止まりしている中国では、職にありつけない多くの若者は実家に戻って親の支援に頼って生計を立てている。
同国の財政部が3月22日に発表した「公式統計」によると、今年1~2月の全国の税収総額は3兆7820億元(約75兆6400億円)で前年同期より4%減り、個人の所得税は前年同期より15.9%減少した。
もちろん中共当局が公表する「公式データ」は「政治的なニーズ」により調整されるため、実際の状況は公表されているより「もっと悪い」可能性が高い。ただこうした大いに「美化」された公表数字であっても、中国経済の「楽観視できない」現状をある程度反映しているものと考えられる。
昨年以降、中国のSNS上では「中産階級が貧困層に戻った」とする話題が盛り上がっており、熱は今になってもまだ収まっていない。
そうしたなか、「河南省では失業率は70%に達している」とメディアに明かす地元民もいる。
このほど、洛陽市に住む趙さんは、NTD新唐人テレビに対し、「地元では7割が失業中」と訴えた。
「地元の給料は月1800~2600元(約4~6万円)前後だが、こんな月給ではとても生活ができない。貯金を切り崩したり、クレジットカードに頼ってなんとか生活を維持しているという人は本当に多い」
また、「地元で仕事を見つけるのは困難で、政府は市民の生き死になど気にも留めていない」と趙さんはいう。
失業者が増えるにつれ、いまやスターバックスカフェに代わって、無料で利用できる中国各地の公共図書館が「失業者の居場所」として利用されるケースが増えている。
昨年8月、中国統計局は「全国の都市部における若者の失業率について、公表を停止する」と発表した。
この発表の真意について、中国では普遍的に「失業率のデータがひどいので、皆しばらく見ないでください」あるいは「もうこれ以上、でっちあげられないから」と受け止められている。
若者の失業率の公表が停止される以前、今年の4~6月の中国の若者の失業率は20.4%~21.3%に上昇。歴史的な新記録を、毎回連続で更新していた。
しかし、北京大学の張丹丹副教授は、以前に「過小評価されている可能性のある若者失業率」という記事のなかで、「躺平(寝そべり)族や親の援助を受けて働いていない1600万人を失業者とみなすならば、3月の中国の若者の実際の失業率は最大で46.5%に達する」といっている。
中共当局は、低い就業率を少しでも高く見せかけるためなのか、その統計方法は驚くほどルーズになっている。例えば、週に「1時間」働いただけでも、就業者とみなしているのだ。
また、インターネット上でアカウントを登録するだけで「大学生が起業した」とみなして、就業者にカウントしていた。
関連記事
中国失業率が深刻 若者は親に依存(こちらをクリック)
失業者の居場所は図書館 家族には「仕事に行くふり」をする=中国(こちらをクリック)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。