17日、オーストラリアで行われたアルバニージー豪首相と中国の李強首相の共同会見に出席したオーストラリア国籍の中国系TVキャスター、チェン・レイさん(49)の前に、中国大使館のスタッフが立ちふさがり、意図的に視界を遮る事件が発生した。
豪ジャーナリストへの中国当局者による公然たる妨害や嫌がらせをめぐり、メディア界で大きな議論を呼んでいる。アルバニージー首相は翌18日、李強首相に対し、「中国当局者の行動は受け入れられない」と抗議したとメディアに語った。
中国にルーツを持ち、かつて中国国営中央テレビの国際向け放送でキャスターを務めていたチェン・レイさんは4年前、国家機密を国外に違法に提供したとして中国で拘束された。仕事上で得た国家機密を不法に海外機関に提供したという罪に問われ、懲役2年11月の実刑判決を受け、昨年10月にようやく刑期を終えてオーストラリアへの帰国を果たした。
現在は報道の仕事に復帰しており、オーストラリアのSky Newsテレビのニュース・キャスター兼ビジネスレポーターを勤め、今回の会見ではSky Newsの代表として出席した。
Sky Newsが公開した映像によれば、チェンさんが17日の式典と記者会見に参加している最中、彼女の正面に、中国大使館職員と思しき2人の人物が立ちはだかり、彼女がカメラに映らないように遮る様子が確認できる。これらの職員は、アルバニージ首相や李強首相にも、目に付かないように位置取りをしていた。
この2人に対し、オーストラリア政府のスタッフが数回にわたり厳しい表情で退去を求めるも無視され、チェンさんが他の記者と席を交換した後も、執拗に彼女の前に立ちはだかる動きを見せたが、オーストラリア政府のスタッフはこれを阻止した。
2人はチェン記者に近づこうとして押し合いになり周囲の人々の注目を集めていた。
今回の出来事について、チェン・レイさんはSky Newsに対し、「中国共産党は、私が彼らにとって都合の悪い発言や行動をすることを防ごうとしていたと思う。そのような行為は実際には恥ずべきだ」と述べている。
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